気をつけたってダメなんです

何か失敗してしまった後,失敗しないような予防策として「今後は気をつけなさい」というのは無意味だと思うのです。

ケース1:
ルーチンの伝票処理で,出荷日・納入日・検収日が取引先と違う定義になっていた。
原因:
契約・取り決めの未確認

これに対して「気をつける」には,毎回契約書類(の写し)か取り決めを書いたものを確認するしかないです。それでも確認しなければ間違いますし,そもそも毎回見ない人は「いくら気をつけてもダメ」なんです。ルールを額縁に入れてもダメ。見る,という手順が増えるだけです。日付くらい自動計算できるシステムにしないと。逆にそうすれば,「勝手に日付を書き換えて月間売上を誤魔化す」不逞な輩を追い出せます。ノルマにぴったりすぎる売上報告を受け入れる経営側の人間というのは,一体どういう脳ミソをしているんでしょうか?見て見ぬ振り?

ケース2:
とても簡単な集計作業なのにもかかわらず,小合計と総合計が入れ違って記入されていた。
原因:

ケアレスミス

こんな作業を毎回手作業するから間違えるんです。スプレッドシートで処理するか,手計算するにしても,計算結果を記入するマス目に?@?A・・・と連番を振るくらいの対応でほとんど防げますが,それすら成されないのが普通です。いつまでたっても作業者の「集中力」「ヤル気」という目に見えないムチを打っても馬は走りません。ミスを生じにくい作業を用意するのが組織の存在意義のひとつだと思います。個人の集中力に頼るなら,個人営業した方がマシでしょ。集団で何かをする意味をもう少し考えましょう。

ケース3:
学校付近で「不審者出没」情報があり,児童や父兄には連絡徹底していたが,連れ去り事件が発生した。
原因:
気をつけていても,不審者には関係ない

そんなものいくら気をつけたって,相手が何かしようとしているのに,「気をつけ」で直立不動したって,何の助けにもなりません。教職員組合の取り決めがどうとか,町内会の集まりが悪いとか,警察が全然動かないとかどうでもいいです。あなたがちょっと通学路を歩けば防げるだけのことです。「気をつけ
さい」と言うだけで責任逃れをするのはやめましょう。これは交通事故とほとんど同じ問題を抱えています。事故が置きやすい交差点があるなら原因を調べて対
策しなければだめです。いや,原因はわかっているのです。膨大な調査研究結果があります。でも経済的影響云々で遅々として進みませんね。まぁそのうち「自動車社会を恨んだ狂科学者」がものすごいものを生み出してくれるのを期待して待つのも面白いのではありますが。


事務的
な仕事に対する「気をつけなさい」は,熟練者にとってはあたりまえに思えるかもしれません。
しかしながら,あなたがケアレスミスをしないようになるまで何年掛かりましたか?ほんとうにケアレスミスをしていませんか。実際には他部署に顔がきくようになって,ミスミスでないように処理してもらっているだけではありませんか。もしあなたが管理者的な立場におられるのなら,「ミスをおこさせない作業」に改める努力をするべきです。それは組織間調整が必要です。下っ端にはできません。あるいはミスが問題に変化する前にチェックして検出し是正できるような仕組みを作ってください。事務処理の常識としてダブルチェックがあります。ダブルチェックの仕組みもなく,「ミスが多いミスが多い」と嘆くのはバカがやることです。

(2008.08.13追記)

リンク追加しておきます。

ミスとかトラブルとか