どうせ稼働率は5%くらいっしょ?

愛・地球博
では人ごみにロボットを投入するそうですね。警備・清掃・案内。

すばらしい。21世紀です。しかしここでまたしても後ろ指を差しておきます。

産業用ロボットや自動搬送台車が、人間の労働現場でもう何十年も働いています。

しかしながら、労働災害を防ぐために、業界とユーザはエライ苦労を重ねたのです。以下に私が見聞きしたいくつかのポイントを書いておきます。詳しく知りたい人は、労災関係の資料やJIS辺りをあたってみればよろしい。

産業用ロボット(腕)の場合の原則:
最大稼動範囲は、安全策で区切り、動力が生きている限り、人間が立ち入れない構造とする。
ロボットのハンドが何か物をつかむ場合は、飛翔まで考慮して柵を設ける。

これは簡単なようで難しいです。例えばロボット自体の調整中にはロボットが動いてくれなければ困ります。だから例外があります。そして多くの自動設備の労働災害は、調整作業中に発生します。

搬送台車の場合:
押しやすい位置に非常停止/緊急停止ボタンを備える。(警備ロボのボタンは位置が低すぎます。押そうとした人間のアタマが本体部分に衝突するでしょう。全治2週間
接触を検地するバンパーを備える。(警備ロボの場合、足元にしかないので話になりません。腕を伸ばしている子供が突き指したり、肘関節が反対側に曲がってから止まるでしょう。全治2ヶ月

大昔FMSやCIMなどのいわゆる工場のオートメ化、FA化がブームになったようなころと違って、今時はロボット/人間の分離が当然です。なぜならば、モータ技術の向上、サーボ技術の向上によってロボットの動作速度が極端に大きくなってしまったからです。腕形のロボットは昔から柵に囲まれるのが当たり前でしたが、猛スピードで走ることができる台車は、もはや人間と同じフロアを踏むことはできません。

この視点で考えると今問題にしているロボットの動作速度は少し昔を思い出して捉えるべきなのかもしれません。「ゆっくりなんだから大丈夫だろう」という先入観で事故が多発した頃のことです。

どちらかというと人間とロボットの共存については物流業界の方がノウハウを溜め込んでいます。悲しいかな今回人ごみに投入されるロボットは物流業界からエントリされていないようです。NEDOの指導の元、一所懸命に車輪の再発明をしたんでしょうね。

いやいやこれはちょっと後ろ向き過ぎたかもしれません。

さて、街中で警備や清掃の仕事を普段目にすることがあまりに多いため、ついつい忘れがちなことがあります。

工事現場には、バリケードがありますね。カラーコーンがありますね。これは日常空間と工事作業空間を線引きしているのです。警備の人はこの境界で警備します。偉そうなビルの入り口の警備も同じです。ビルの外と内、自由空間と制限空間の境界です。

清掃は、ケースによります。最近駅のトイレ清掃では、清掃中でもトイレを利用可能にしている所も多いですね。床を磨く場合などは、やはりカラーコーンなどで立ち入りを制限します。

こういう制限空間の設置はなぜおこなわれるのでしょうか。もちろん安全のためです。作業者が作業に集中して通行人に邪魔されないようにするためでもありますが。

例えば、雑踏警備が難しいのは、そういう境界線を引くことが困難になる場合なのです。ロボットに雑踏の中に入れというのは、そもそも人間でも難しいことをやらせようということになりはしないでしょうか。

挑戦?「そんな後ろ向きのことを言っていたら技術の発展が阻害される?」

そんな呑気なこと言ってて良いのでしょうかね。ASIMOが絶対に制限空間から外に出ない、子供にボールを蹴らせるときにも2m以上離れた位置に立たせるのはすべて安全のためでしょう?。たった40kgのカタマリであっても、すっころんではさまれたら重症〜死亡事故さえありえるからでしょう?さすがホンダさん自動車を作っているだけのことはあります。演出が巧妙なので気づくのに時間がかかりましたよ^^

今回、ロボットの横に人間が付き添うようですが、雑踏ではダメだと思いますよ。人間ひとりでは雑踏に対して完全に無力です。

路上で酔っ払い二人が歩いてきたら、警備員ひとりなんてなんの役にも立ちません。だから立哨は二人セットの原則があるわけでしょう。綜合警備保障さんは、そんな基本も忘れてどうしちゃったんですか?ロボットを一人と人間一人と同じように数えてるんですか?マサカ!?

「今回は展示ということで・・・」

がオススメの落とし所でしょう。もちろん付き添いの人間は二人必須です。それが無理ならおやめなさい。

清掃も同じです。床や路面を清掃する機械でこれまで一体何人の人が労災を被りましたか?そういうことを忘れてしまったんでしょうか。

案内ロボットは論外です。あれは受付机の向こう側にしか設置しちゃだめですよ。腕の根元の関節やら、挟まれ防止策がまったくもって目に見えません。サーボの過負荷でとめるのは最後の手段ですよ。止まる頃には子供の指なんて切断されちゃってますからね。AIBO並みの対策でギリギリなのが現状。アーム有りロボットはまだ早すぎます。

これだけ言っておけば、びびった企業は取りやめるでしょう。地球博の会場内設備・サービスのページで「ロボット」がいまだに公開されないのは、ファイナルアンサー待ちだからでしょう?

もしこのエントリを読んで、ひとつでも「へぇ〜」と思うことがあったら、おやめなさい。単なる知ったかぶりで書かれたことすら知らないなら安全対策を採るに必要な知識が不足しているということですから。

え?それはNEDOのおっさんが教えてくれたって?そんな言い訳は事情聴取まで仕舞っておきなさい。

(追記)安全対策に対する認識の甘さを指摘した名言1
「私が全責任を取らせていただきますから。」
『てめぇのクビが飛んでも,飛んじまった俺の指は戻ってこねぇんだよ。』

怪我をしても直るとか,治療すれば済むとか,本気で考えてるバカがたくさんいます。そんな人間が関わっている機械・装置・乗り物には近づきたくないものです。合掌。

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