結局,紙とインクと同じ

新聞紙に印刷された古いニュースは,新聞を保管してある所へ直接行くか,コピーを取り寄せないと見ることができません。

古い古いも同じです。探し回ってどこかの小さな書庫に眠っているのを引っ掻き回して見つけなければなりません。

電子データならそんな苦労をしなくても良い世界が訪れると,淡い期待を抱いていました。

しかしながらどうですか。ニュースサイトは数年ごとに移転してしまい,古い記事は読めなくなります。あるいはサイト自体が消えてなくなることもしばしばです。諸行無常。

だれかがコピーを保管してくれていれば,運良くそれを見つけられるかもしれません。

グーグルのキャッシュにも保管期限があるのでしょう。Webarchivesもいつまでつづくことやら。

未来に向かって何かを保管し続けるということは,どんどん保管対象が膨らんでいくということです。情報の量に単位があるとして,例えばバイト数当たりのコストは下がるのかもしれませんが,未来の情報はバイト単位では現在時点よりももっと大きくなることでしょう。そんな膨張する情報宇宙の維持コストなんて,誰が負担できるでしょうか。

結局これからまだしばらく人力に頼るしかなさそうです。そうして一部は捨てられ,一部は忘れ去られ,一部は見落とされ,残りカスだけが将来に引き継がれていく。ただそれだけのことです。

情報を何か入れ物に入れる限り,参照する人から入れ物までの距離に依存するでしょう。

たとえば後生大事に,ある情報を何百年も守り抜いたとして,その情報がどこにあるかを知る人がいなければ無いのと同じです。情報の事象の地平はえらく狭そうです。あるいは,見つけ出すためのキーワード,タグ,秘密のヒントがなければ見つけられないでしょう。そこにあるが,見つけられないものは存在すると言えるのでしょうか言えないのでしょうか。

情報が情報として宙に浮いて存在できない限り地平は有限でしょう。もしかしたら地平を広げるタネ明かしがそのうち実現するかもしれませんね。果報は寝て待て。量子通信の成果を見るまでも無く,それは時空間の性質と根っこが同じでしょう。

情報が宙に浮いて存在するもの,それの実装例が宇宙なんではないだろうか,なんて陳腐なことは書きませんよ←書いてるジャン^^




宇宙のランデヴー

posted with amazlet
at 05.05.22
アーサー・C・クラーク 南山 宏
早川書房 (1985/09)
売り上げランキング: 96,359
通常4〜5日以内に発送
Amazon.co.jp で詳細を見る

そんなわけで,この本を思い出しました。スゲ〜長いのでご注意を。