両手足を縛る

お山の大将同士が結託して、談合するのは良く見られる光景です。

春なので、談合に都合の悪い新参者を排除するための技術をいくつか紹介しましょう。

これでもあなたも立派な”お山の大将”になれること請け合いです。

ジャイアン的知識支配

俺の知っていることは知っておけ

俺の知らないことは忘れろ

例えばいまどきの情報系の院卒なら、最新のアジャイル開発プロセスなんかにかぶれていることも多いわけですが、新卒の新入社員がそんなものを持ち出したら、

とにかくウチの顧客はウォーターフォールなんで、わけのわからん手法では仕事にならない

いまどきは純粋な滝つぼモデルなんかありえなくてアジャイルやRADの良いとこどりをしていると思います。また実際に業務改善につながるなら、顧客も滝つぼの底で溺れ死ぬよりはアジャイルの崖から飛び降りたいはずです。

もちろんお山の大将は泥舟が大好きなので、崖はお好みではないでしょうが。

幼鳥のうちに羽根の根元に切込みを入れる

必要なツールや資料は顧客から提供される

勝手にツールを作ったり、書籍を購入することは許さない

しょうもない座学ばっかりの研究室でも、ちょっとした計算や思考実験のためにツールを作ることは一般的でしょう。

また、専門的な高校や、高専卒ならその指向はより高いでしょう。

つまりVBやDelphiはたまたExcel+VBAでのツール・マッシュアップ的な活動がデフォルトになている若者に対しては、最初からツールを取り上げておく必要があります。

なんでかというと、これまで手作業で何十時間もかけて作成していた設計資料や、検収対象の試験計画書の類をツールで瞬殺されてしまったら困るからです。

節約された時間はより高度な業務にまわす必要が出てきます。そうなると従来から居る要員のための仕事がなくなってしまうのです。ようするに単純作業かつリスクの低い仕事です。

また、新卒者が配属1ヶ月で改善に気づいてしまうような作業を延々と続けてきたという事実を隠蔽するためにもこれは重要です。

絶対ミスを許さない

製品回収のコストはン億円だ

キミが責任を持てるのかね?

うちの会社が困るんだよ

ケアレスミスをするようなやつはプロじゃない、というわけです。しかし実際は、名ばかりリーダーや名ばかりマネージャは実務比率が低いため、ミスが目立たないだけのことで。

ミスをする率の高い低いをどうやって評価するかです。作業時間あたりですか?タスクの個数あたりですか?ではタスクの粒度は?どうなっていますか。

ミスの多い部長や役員をけなす人は多いですが、決済の数が多い人ほどミスの絶対数が多くなるのは当然です。あるいは部下の数が多いほど。担当分野の広さもあるでしょうし、抱えている設計ドキュメントの数、関連するモジュールの多い少ないも影響するでしょう。

去年新規に作ったモジュールが担当ならミスも多いでしょうし、ここ3年誰も手を入れていない"枯れた"モジュールならミスのしようがありません。

だんだん”それってミスじゃなくてバグのこと?”という気がしてきませんか。

ミスにも自動車事故と同じように自損と他損があるのです。また、ファンクションポイント(FP)のように、他とのかかわり方やインプット・アウトプットの接続数も関係するのです。

そういう総合的な評価なくしてミスを語ることはできません。

間違いだらけのドキュメントを元に仕事をしている部署と、NASAの下請けかと思うほど緻密なマニュアルでがんじがらめで仕事をしている会社ではミスの発生因子は全く異なります。 当たり前のことです。