ある口入屋の風景

創立から7~8年。そろそろ制度疲労がはじまるころです。

3年5年のマイルストンと10年のマイルストンの間には深くて暗い川があります。

ちょうどそのあせりが出てくる頃です。

先日、小さな口入屋の社長訓示の話を耳にしました。

社員よりも人数の多い、契約社員に対しては、

ウチの契約社員で、年収1000万円を目指そうなんて考えるのはやめてください。

そういう人は辞めてもらって結構です。

とか、ギソー請負のパートナー個人事業主に対しては、

今後は管理費割合(ピンハネ率)を最低でも20~30%に引き上げます。手取りは減りますが、サポート業務の内容はこれまでどおりです。

いやなら契約終了で構いませんです。

とか。

居残るのは古株社員ばかりで、稼ぎ頭はすぐにヨソへ移ってしまいます。あるいは同じようなベンチャ起業をしてしまいます。するとシャチョさんはますますイライラして、社員に当り散らします。

ヤルキか野心があれば、だれでもこの商売を始めることができます。ちょっと優秀で無欲な若者数人と、下心のある経理マンがいれば、電話と机だけでもできる仕事です。

誰でも出来る仕事なのですから、過当競争になるのは当然です。宅配内職と同じです。働く人にとっては、すこしでも手取りの多い、楽な仕事を探して口入屋を変更していくのは当然のことです。

誰でも出来る仕事を、さも自分の営業力やコネのおかげだという勘違いなのか思い込みなのか、をなんとかしないかぎり、ジリ貧になるのは当たり前です。

最後は、言うこと聞くばかりで自主性のない、低生産性のサラリーマン技術者ばかり残って、たいした単金を稼げなくなり、役員は椅子取りゲームを始め、小さな会社はチリに分裂するのです。

シャチョさんが老後のことを口に出し始めたら末期です。家のローンのことを言ってるうちは、まだだいじょうぶでしょう。

しかしどうしてこの程度のことを考えもしないで会社なんて作っちゃうんでしょうか。まぁ考えるような人は、口入屋なんてものに手は出しませんよね。