妄想の恐怖:キシリトールを摂って酸を産生するミュータンス菌

心配も度が過ぎると妄想になりますが、この場合は、そこにある危機かもしれません。

 

 

キシリトールなどの希少糖が虫歯の発生を抑制する効果があるらしいことは、まことにけっこうなことです。

 

ですが、抗生物質が耐性菌を産むように、希少糖を自然界のバランス以上に用いることは、これもまた別の問題を引き起こす恐れがあるのではないでしょうか。

 

 

 

キシリトール|キシリトール基礎講座|日本フィンランドむし歯予防研究会(JFSCP)

 

   

キシリトールとミュータンス菌

   

キシリトールのミュータンス菌に及ぼす影響は、キシリトールがミュータンス菌内に取り込まれても代謝経路に入れず、エネルギーを消耗させるという無益回路で説明されています。

   

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ミュータンス菌の中には、キシリトールにより糖代謝を阻害されないものが存在してます。このタイプのミュータンス菌(キシリトール非感受性ミュータンス連鎖球菌:以下、非感受性菌)は、キシリトールを取り込むためのPTSが先天的に欠如しており、キシリトールを取り込まず、キシリトール5リン酸を蓄積しないので、糖代謝が阻害されません。

   

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この非感受性菌は突然変異株と考えられており、非感受性菌は感受性菌に比較して、酸の産生(特に乳酸)が少なくなり、プラークの原因となる不溶性菌体外多糖を作りませんので、むし歯にはなり難いミュータンス菌といえます。不溶性菌外体多糖がないことは、プラーク量が少なくなり粘着性も低いため、歯ブラシで清掃しやすく、また感染し難いミュータンス菌とも考えられています。

 

ミュータンス菌も多様性をもっているということです。

 

ミュータンス菌も、インゲンが甘い果物や炭水化物を好んで食べるからこそ、寄生しているのであって、もしインゲンがそれらを摂取しないのであれば、おそらく寄生しないか、もっとずっと数を減らすことでしょう。

 

さて、キシリトールをたくさん摂取するのが何世代も続けば、いずれミュータンス菌の突然変異種が、それを利用する可能性が出てきます。現状では、虫歯につながりにくい種がそれを担っているようですが、いつなにがどう転ぶか分かりません。

 

結局、厄介ごとを一つ増やしているだけのようにも思えますが、良い悪いの判断はできない類の問題のような気がします。

 

 

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