通りすがりの”専門家”の過激なふるまい

木くずの火災で思い出しました。

出火前に白熱球点灯…神宮外苑火災で大学生説明

テレビでも、数日前に通りすがりの人が

火災対策してるの?

と指摘したという話が出ていました。

もちろんスルーされたでのしょう。

 

安全や技術に関する”外野からの指摘”というのは現場では無視されるものです。

それで思い出したのは、こんなマタ聞きの逸話です。

彼はXX重工の元開発部長で、

長年飛行機のジェットエンジンをいじっていた。

造っていたといっても過言ではない。

そんな彼が転職後に出張で飛行機を利用した。

自分が”いじっていた”エンジンを積んだ機種だった。

座席についてから、彼はエンジン音の”異常”に気付いた。

「こんな音は聞いたことがない。何か異常があるのでは!」

彼は焦った。自分の命、他の乗客の命が危険に晒される!

そこで客室乗務員を呼びつけて言った。

「エンジン音がおかしい、と機長に今すぐ伝えてくれないか。」

乗務員はこう返しました。

『いいえ、お客様。そのようなご心配は無用です。万全の整備を終えておりますので。』

彼は引き下がらなかった。

「ダメだ!今すぐ機長に知らせなければ!この飛行機は墜ちるぞ!」

機長は彼を機から下し、無事離陸した。

 

ごみためまんはこの話を

・思い込みが激しい技術系社長の武勇伝(笑い話)

とだけ受け取るのは間違っている気がします。

 

”彼”は乗務員にXX重工の元技術者であることを伝えてもなおスルーされました。

結果的に飛行機は無事に離陸してフライトを終えたので、機長にエンジン音の異常を伝える必要はなかったのかもしれません。

しかしながら、何事も結果論です。

もしこの飛行機がエンジントラブルで重大事故をおこしていたら、”彼”はどう扱われたでしょうか。

航空会社は離陸前の”警告”をなかったことにするかもしれません。

 

似たような話は品質管理の現場でよく見かけます。

これは不具合だ!

と検査員が騒ぐと、

もう1回やりなおせ!

無駄に騒ぐな!

と現場から反撃される。何回計るかは規定で決まっています。

しかし現場では出荷優先のために、

「OKが出るまで試験をやりなおす」

という運用がまかり通りますね。

そういうことの積み重ねが、トーヨーゴムやスリーダイヤ自工の不祥事のような場所へ通じているのかもしれません。

 

というわけで、今年も品質月間です。

品質月刊2016

 

 

標語ではありませんが、プロのテスターに言われた一言を書いておきます。

その不具合現象は、

2度と再現しないかもしれない。

だけど、発生したのなら不具合です。

不具合起票しましょう。