ごみためオピニオン「業務委託」を新設すりゃよかったんじゃね?

企業法務はいまだに前時代的なニポーン。

理由は簡単で、裁判所がいまだに紙ベースで仕事しているからです。

弁護士も紙ベース。だから件数をこなせない。

そんな意見を耳にしました。

 

さて、しばらく前のことですが、

請負契約以外の仕事なんか実在するんですか?

という「俺は世間知らず」という告白を目撃しました。もちろんITケーです。

なので、ちょっとおかしな連中が増えているようなので、注意喚起も含めて書いておこうと思いました。

 

ごみためまんは、十数年前に社員数十人のソフトハウスのシャチョさん(当時60代)が、

こういう要件定義や見積もりは

請負ではできません。なぜならゴールを決める作業だからです。

ゴール(成果物)が決まらないのに瑕疵保証責任なんか負えません。

詳細設計や、製造(コーディング、実装)なら請負で契約できます。

たぶん常識だと思いますよ。

と言っていたのを基準にしています。

もちろんこのソフトハウスは、「超」が付く世界的な一流企業と「直接取引」つまり取引口座を持って20年以上の取引実績をもっていたので、「上流階級」であることは確かですが。

 

ちょっとコラムス:

ごみためまんのわずかな経験でも、儲かっている業界、会社ほど、

(発注者として)法律を守って、ごく当たり前に仕事を回します。

契約書・見積書に書いていないことは別見積で契約追加、支払い追加。

儲かっていない会社ほど、(悪い意味で)いい加減な契約、

契約書に書いていないことを平気で要求し、無償対応させる。

もちろん儲かっていない会社であればあるほど、まともな法務部門はありませんし、

契約違反を指摘されても、居直るだけです。

儲かっていない会社ほど契約書の変更や追加を嫌います。

「~~条項を追加して追加見積だしといて」

と電話一本で依頼を受けて処理できる部署・人員が存在しないことが原因です。

裁量が分散されていないので稟議からやりなおし・・・バカじゃなかろうかと思います。

 

でまぁ、メッティ(経産省)のガイドラインを見れば分かるように、ITケーでは請負よりも準委任のほうが業界勢力的には強いことがうかがわれます。

そりゃそうでしょう。受注側のベンダーがロビー活動してガイドを作らせたわけですからね。

「情報システムの信頼性向上のための取引慣行・契約に関する研究会」

「情報システムの信頼性向上のための取引慣行・契約に関する研究会」報告書-モデル取引・契約書<第一版>-概要(PDF形式:542KB)PDFファイル

ちょっとコラムス2:

ちょっと心配なのは、一次請けの大手ベンダーが

「自分は準委任で請けておいて、下請けには厳しい請負契約でやりたい放題」

という図式です。お役所にはその辺にも目を配ってほしいものですね。

 

さて、準委任と請負の切り替えポイントがPDFの冒頭に出てきます。

20170416101004

曰く、

上流のシステム設計までは準委任一択、

内部設計、実装は請負一択、

テストは準委任推奨、

運用保守は、あずゆーらいく

大前提として、請負契約に基づく内部設計や実装は途中の大幅変更は原則なし、でしょう。

それは仕様変更や追加仕様を意味しますからね。

するとすぐにウォーターフォール!と叫び出す間抜けがわいてくるかもしれませんが、スパイラル型で1周まわすごとの契約にすれば何の問題も無い気がします。実際どこでもそうやってますよね。

例えば半年間の開発期間で、検収、支払いを1回だけ、なんてのんきながちがちの談合案件でないかぎり、契約単位を刻むのは常識ですよね?だったら、その単位で見積もり、実作業、検収を繰り返すだけのことです。面倒でしょうけど、クレームはガチ談合案件を取てこれない営業マンに言うべきでしょう?

 

このガイドは10年前から存在するようなので、いまだにこれすら知らずに発注側有利な請負契約で苦しんでいるソフトハウスなんかは、ただの世間知らずか、ブラック談合の一員認定していいんじゃないですかね。

ガイドが出たばっかりなら

お役所がまた無駄なことを

とうそぶいていれば格好はついたんでしょうけど。そういうのを自業自得というんじゃないでしょうか。

 

さて最後に、昨年末まで見落としていた民法改正が、この請負・準委任問題に影響するというネタを書いておきます。

 

ぶっちゃけ今年改正される民法で、

・請負では未完成でも支払い義務発生

・準委任でも成果物要求可能

というアイマイモコな変更がおこなわれるようです。

一見わかりやすい説明を見つけておいたので興味のあるかたはどうぞ。

 

リンクる:

民法改正で準委任契約も変わる

今までは、受注者が完成した成果物を納品することでのみ支払いを受けられるとしていた請負契約が、部分的な納品でも代金を請求できるようになったことは、ユーザにとってもベンダにとっても契約についての考えを改めなければならない”事件”かもしれません。