遅延小噺2017

注意:冷静に読むこと。

200人くらいの大部屋開発の現場を思い浮かべてください。

隔週の定期リリースは恒常的に1週間遅れ。

酷い時には次のリリース日をすぎるくらいです。

制限のない時間外労働、ブラック現場・・・うんぬんかんぬん

 

さて、そのような状況の定例会議(御前会議)の場で、上位会社(元請け側)から、ある議題が出されます。

親会社から、労働環境改善の指令が出ました。

現在の状況を”ブラックでない”状況にするためには、

どのような方策が考えられるでしょうか?

忌憚なきご意見をお願いします。

喧々諤々議論が繰り返されます。

曰く、

各自1週間以上の遅れを残業でカバーしている状況です。

負荷率は150%以上。

コミュニケーションオーバーヘッドを考慮すると倍の規模の要員で臨むべきかと。

なるほど。もっともらしいですね。

曰く、

頻繁なリリースが作業負荷となっています。

構成管理のルーチンがうまく回っていないので、

専任の構成管理チーム、あるいはPMOの設置が必要かと。

まずはコンサルと経験者、上級SEの採用が良いかと。

ただし効果を上げるには数か月かかり

開発プロセスへの影響もあるので現場では一時的に負荷が増えます。

王道、正論ですな。

 

そこへ通りすがりのコックが言います。(カミナリ(お笑い芸人)でお願いします)

馬鹿馬鹿しいことで時間をつぶしているもんだな?

2週間に1回の締め切りで、毎回1週間遅れてるんだよな?

どんどん遅れているわけじゃないんだよな?

じゃぁ、締め切りを1回飛ばせば、1週間先行するだけのことじゃねぇのか。

お前らはバカなのか?

 

実際には、「リリース1回でいくら」の契約などでは簡単にリリースを飛ばせない事情もあります。

しかしその他の提案でかかるコストを考えれば、リーズナブルな選択です。

 

さて、実際にドイツ人がコックの提案を受け入れた事例をごみためまんは見たことがあります。

曰く

なるほどヤーパンチームの事情は分かりました。

インフルエンザが大流行して、

全チームが平均的に1週間遅れているんですね。

まさにゲシュタルト。

チーム間の相互依存があるでしょうから、第30週のリリースはスキップしましょう。

 

その後どうなかったは書くまでもないかもしれません。

4週後にはまた恒常的な遅れが顕在化していました。

 

ずっと前にも書いた気がしますが、自動車関係の生産管理の主が言ったことを書いておきます。

全ての工程の先行・遅れに目を配る。

遅れが出ている工程の尻を蹴るのは管理ではない。

ケツを蹴られて遅れが取り戻せるなら、最初から遅れない。

 

他の工程が待たされて遊ばないように調整するのが管理の神髄。

極端な話、先行している工程を遅らせればよいのだ。

これを律速管理という。

 

なんどやっても遅れる工程は、工程設計に問題がある。

作業者に遅れの責任を押し付けても解決せず、再発を繰り返す。

工程見直し、工程分割で手当てする。

 

企業活動はずっと続くのです。

一発勝負ではないのです。

遅れた工程を”フォローする(急かし、催促する)”ことは工程管理としては

ロボコン、0点(レーテン)

by ガンツ先生

だということです。おわかりでしょうか?

 

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