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2013.11.03

富の源泉’2013晩秋:ハイキック・ヒューイ

アウトソースのキホンですな。

 

 

仕事を害虫に出したら儲かる仕組みの説明をちゃんと受けていない阿呆が多すぎる気がします。

 

子供ころにデークの棟梁の膝の上で習った説明は以下のようなものです。

 
   

でかい会社は間接費もでかい

   

小さい会社は直接費の占める割合が高い。

   

でかい会社が小さい会社に仕事を丸投げするのは、

   

この間接費の差を抜いても、

   

仕事のアウトプットが変わらないことを期待してるわけだ。

   

決して、給料の高い会社が給料の安い会社にピンハネして丸投げして儲けるための仕組みではない。

   

そういうのは外道のやる商売。

   

この違いは明確だが、

   

おめぇにそれが分かるころには俺はもう墓の下だろう。

 

 

 

たとえば社員が10万人いる製造業の会社を想像してみてください。

 
   

事業部が10個くらいあって

   

工場が20箇所くらいあって

   

全都道府県に営業所がある

   

会社が運営する病院まである

 

というような。設計したり、開発したり、直接物を作らない社員が頭数で90%~95%に達するのが普通ではないでしょうかね。

 

本来は1万人でできる仕事を、その規模ゆえに9万人で支えてもらっているわけです。

 

なんでそんなことになるかといえば、それは規模の問題です。

 

自営業で一人なら、ごみためまんのように4畳半のアパートと机と電話だけで仕事が回りますが、10人になれば家賃数十万円/月のオフィス。100人になればビルの1フロア。

 

経理さんも労務管理さんも、受付さんも雇わないといけません。電話だって回線が増えれば交換機が必要になるので、1回線/2000円かける回線数・・・なんて計算ではすまなくなるのです。

 

直接費の定義はたぶんいろいろあるのですが、間抜けなIT業者でも製造原価として管理しているのが普通でしょう。間接費は直接費以外の支出全部と考えておけばいいんじゃないでしょうか。いや、原価に間接費を載せちゃってるんでっしたっけ。それは本当に間抜けだと思いますけど。

 

この直接-間接費の比率はけっこう重要な指標のような気がします。

 

直間比が高い(直接費の割合が高い)からと言って儲かる会社、というわけでもありません。売り上げと利益がおなじでないのと同じ理屈です。

 

さて、直間比が低い大企業が、直間比が高い中小企業に仕事を丸投げする仕掛けの説明の続きです。直間比が低い会社は、直接費で間接費分も稼がなくてはならないのです。

 

あなたがサービス残業した分で、毎日新聞を読んで5時ピンで帰る仕事しない部長の給料を払わないといけないからですね。その部長も営業したり、直接アウトプットにならない仕事をしているわけですが。

 

さて、同じ仕事ができるなら、直間比が高い会社の方が、必要な稼ぎが小さくなるのはお分かりかと思います。

 

単身世帯と妻(専業主婦)子持ちの野郎のタトエで説明したほうが早かったかもしれませんな。いま思いつきました。

 

つまり妻(専業主婦)子持ちは妻子の分まで稼がないといけないのです。それでもって持ち家まであると、そのローンや固定資産税まで余分に稼がないといけない。

 

独身貴族なら、自分の分だけ稼げばよいのです。

 

妻子持ちと独身貴族が同じ仕事がこなせるなら、妻子持ちは二人分の仕事を請けて、独身貴族に半分分けてやることを考えます。このとき、妻子持ちは本来自分がやったら請求に載せる自分の家のローン分を抜いて、独身貴族に丸投げするわけです。

 

独身貴族も、自分に必要な稼ぎが得られれば良いわけですから、中抜きされても別に気にしませんね。そもそもこの仕事は自分宛にきたものではなくて、妻子持ちに来た仕事をシェアしてもらってるだけですから。もらえなくてもほかのしごとを取ってくればよいのです。

 

 

 

直間比の差額をでかい会社と小さい会社でシェアするわけですが、おたがい相手の直間比を把握しているわけではありませんから、さじ加減要素が存在します。

 

小さい会社は、より小さい会社に孫投げしてもよいわけです。より小さい会社は直間比が高いことが期待されますね。

 

多重請負構造でAll-Winな関係というのは、このさじ加減が健全な場合です。

 

原発関連に代表される口入屋による不健全な階層構造は、上記の話とはぜんぜん違うのです。

 
   

俺は100万でこの仕事を取ってきた。

   

50万は俺の取り分だから

   

残り50万でこの仕事請けるやつを探してきてくれ。

 

何が違うかというと、元の話では、「本来自分がやったら・・・」があるのですが、この例ではそれがないのです。

 

でかい会社が社員と自社の設備を使って仕事をしてもトントンなので、それを小さい会社とシェアしたら、小さい会社とWin-Winになるという話だったのですが、不健全な例では、遂行能力のない会社が間にはさまっているのが問題なのです。

 

トントンなら、でかい会社が自社でこなせばいいじゃないかという人もいるかもしれませんが、それは負荷の平準化問題です。忙しいときほど、受注がふえるものなのです。(byマーフィ)それを害虫を遣って均しているわけです。

 

しかし不健全な例ではぜんぜん違います。最初から自分でこなさない仕事を斡旋しているだけなのです。

 

結婚斡旋業者が自分で結婚しないのと同じように、口入屋はマッチングを提供していると胸を張ります。ほんとうにそうでしょうか?

 

紹介件数当たりで報酬を得るビジネスモデルの結婚相手斡旋業は利用者と利益相反があるため、そもそも不健全なビジネスです。口入屋とおなじく。

 

 

 

このエントリはクソ口入屋を非難するのが目的ではありませんでした。忘れてました。

 

 

 

でかい会社側の間抜けなプロパーのみなさんを啓蒙するためのものでした。

 

21世紀になってインターネッツがこれだけ普及して、谷歌先生が使えても、でかい会社の間抜けなプロパーが、害虫に仕事を出している意味をしらないというゲンジツに脱力感を覚えます。

 

3行で書けば、

 
   

いま手が足りないけど受注しちゃってるから、

   

害虫さんに丸投げしてなんとかしよう。

   

いつもわりーね、そっちも忙しいのに。

 

なのです。IT業界や建設業界のように、この「いつもわりーね」が定常化しすぎているのが根本的な問題のような気がします。それはなぜか。

 
   

定常的に人が足りねーなら、

   

新たに人を雇えばいいはずだろ?

   

直接費を行使する人間なんだから。

   

直間比もあがるじゃねぇかよ。

 

首を切れないから雇うリスクが高いという言い訳は40年くらい聞き続けてきましたが、

 
   

お宅には、開発請負業務を投げる

   

いつも決まった会社がありますよね?

   

それも何十年も付き合いのある

   

会社がいくつもありませんか?

 

という質問しか沸いてきません。最初から人を雇っておけば、今頃中堅どころかベテランになってますわな。まぁそうなってたら、そのベテランは使えない管理職になって間接費を増やすのかもしれませんが。

 

この問題の弊害は書ききれないくらいたくさんありますが、最大のものは以下です。

 
   

結局、実務は害虫頼りで

   

プロパーは管理ばかり。

 

管理/監理こそ大企業のこなすべき業務、といえば聞こえは良いですが、それは結局口入屋と同じ穴のムジナに成り下がっているというわけです。

 
   

俺(ウチの会社)は100万でこの仕事を取ってきた。

   

50万は俺(ウチの会社)の取り分だから

   

残り50万でこの仕事請けるやつを探してきてくれ。

 

繰り返しになりますが、

 
   

自社でできもしねー仕事を取ってきて

   

中抜きして丸投げするのは

   

外道のやること

 

職人の世界なら、自分の担当外の仕事がきたら、斡旋はするけど中抜きはしないのが当たり前です。それを許しちゃうと暗黒面のシトたちのご登場が必然でしょ。顔利き、場所代・・・

 

(意見には個人差があります)

 

そこで中抜きするような連中は、水戸黄門で斬られる側ですよね?

 

 

 

バナメイエピローグ:

 

似たような話で、経済学の比較優位というものがあります。興味のある人はそちらでググった方が分かりやすいかもしれません。

 

ただ、経済学を騙る人は世間知らずが多いのか、実際の商習慣とかけ離れた例ばかりでピンとこない気がしましたので、ごみためでわざわざ書いてやりました。誤謬が多く的外れなのはいつものことです。

目次:

不連続シリーズ:富の源泉スペシャル

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