FA現場の語彙集(2002.12.16から)

FA現場では方言がかなりきついです。ラダーマンの経験した方言を書きとめておきます。

業界によっていろいろ変わった、そして技術者間の意思疎通の障害の原因となる方言についての情報をお待ちしております。

インデックスも何もありませんので、つらつら眺めてやってください。(汗)


モノの名前関係

上位システム:

単純に「上位」ということもある。

 

上流・下流:

搬送・製造ラインにおいて、製品・半製品などが流れる方向で上手を上流。下手を下流と呼ぶ。

前工程、後工程と呼んだりもする。

 

アンドン:

機械・装置の稼動状況(運転中・異常発生・オペレータコール発生など)をでかでかと表示する表示板の総称。

 

ポカよけ:

ヒューマンエラーに対するフェイルセーフの仕組み・機構の総称。

 

IO:

主に24V系のデジタル信号。電磁リレーや、表示器のランプなどを直接駆動できる程度の容量を持つ。

電流が流れる状態がON、流れない状態をOFF。

5VのIOでは、数mの配線長に耐えられまい。

 

シンク・ソース:

(俗称的には)IOにおいて、トランジスタがNPNかPNPかをあらわす。

国内はNPN=シンクが多く、海外製PLCなどではPNPが多いと俗に言われる。

実際にはトランジスタがダーリントン構成だったりするので、単純にNPNかPNPと呼ぶことはできないはず。

 

マグネット:

電磁接触器、マグネットコンタクタ、MC。

 

端子台:

なんとなくねじ式端子台を指す。国内ではプラスねじが多いが、海外では通用しない(らしい)。

 

インターロック:

2つのアクチュエータが排他的にしか動作できないこと。

またその排他制御のための条件。さらに、その条件を表すラダー上のコイル。

ファーム屋は、ガードと呼ぶことが多い(らしい)。

 

タイマ:

最近では機械式タイマを指すことは少なくなった。

多くの場合PLC内のソフトタイマを指す。実体はスキャンごとにカウントされるカウンタ。

 

タイムアウト:

アクチュエータなどの動作が期待されている時間内に完了しないことを指す。

タイムオーバとも言う。

 

ファーム:

ファームウェア。マイコン系のソフト開発者が使う。実体はハードよりのソフトウェア。

時として、ハード周りのソフトのみをファームと呼び、上位としてのアプリケーションソフトがファームを利用する、という構成もある(らしい)。

以前は、小さな装置内のROM内のハード制御のためのソフトを指していたような気がする。

マイコン系ではPLCのような堅牢なフレームワークがないので、古くはモニタプログラム〜RTOSなどを利用して苦労してソフトウェアを実装する。しかもいくらCFを積んだりISPできるとしても、保守性はPLCに比べて著しく劣る。

プロコン:

プログラミングコンソールの略か。

 

回路ブロック:

ラダー図の最小単位と定義。

山武のPLCやAB、さらに古い安川(GLC?)では「ネットワーク」と呼ばれることも。

例:

ニモニックで言うところの、LD X0 〜 ST M0まで。

JIS B3500にて定義されている呼び方追加

 

作業・動作・操作関係

2本噛ませ:

端子台などで、ひとつの端子に2本の配線を接続すること。

「3本噛ませ」はルール違反であるが、よく見かける。

 

配線の渡り:

コモンなどの端子間を短絡させること。電気図面では渡りの指示があっても、施工でよく漏れる。

コモンがつながらないと、IOが固まりで死ぬ。

 

ねじ山をなめる:

端子台のねじ山がつぶれること。つぶすこと。

 

(シーケンス)設計:

ラダーを書くこと。ラダーはシーケンスそのものであり、仕様書でもある。

コーディングと呼ぶのは、マイコン制御から移行した集団・組織で見られる。

 

デバッグ・現調:

実機で調整すること。現地で調整すること。

一品モノなどでは、一発勝負となることが多い。設備の立ち上げにおける管理項目としては、立ち上げと呼ぶべきか。

デバッグはなぜかDBと略されたりする。そしてソフト屋にいぶかしがられる。

 

ROM交換:

ラダーが収められたROMカセットなどを交換し、シーケンスを丸ごと交換すること。

不具合対策ラダーのインストール作業などでおこなわれるが、決してインストールとは言わない。

ROMといっても多くはEE-PROM。ただし、EE-PROMと言っても通じないし、SRAMのバッテリバックアップでもROMと呼ぶ。逆らってはいけない。

ROM交換できるPLCの強みは、ラダーのインストール作業において特別なスキルを必要としないことである。宅配便でユーザに送りつけ、保守担当者に交換作業を依頼することさえできる場合がある。しかも交換後に不具合などが発生しても、簡単に元に戻せる。

 

RUN中書き込み:

三菱PLC方言。シーケンサが動作中に、GPP/A/Wなどでラダーを書き換えてしまうこと。

PLCを用いた装置・機械のMTTRが小さいのはこういう強みによる。時には、不具合発生からシーケンス変更、復旧まで3分とかからない。

マイコン制御では、なかなかそうはいかない。

 

ラダーをモニタ:

動作中のPLCの中身をプログラミング装置でモニタリングすること。

どのコイルがONしているか、どのレジスタがどんな値か、もれなくモニタできる。

マイコン制御では、なかなかそうはいかない。余程よくできたモニタプログラムを積んでいても、PLCのプログラミング装置でできること全てはカバーできない。

イメージ的には実稼動中にいつでも安全にICEを指してデバッグでき、さらにプログラムまで変更できるマイコンのようなものである。

 

段取り替え:

搬送系であればジグ、加工機系であれば工具や金型などを必要に応じて交換すること。

さらに、素材の投入や、完成品の搬出、装置内の掃除、キリコやスラグなどの排出作業なども含まれる。

さらにさらに、加工系であれば、プログラムの呼び出しやその編集、試加工、品質チェック作業なども含まれる。

 

復旧:

機械・装置が、異常停止した場合に、正常運転できる状態に戻す作業。

手動介入などもある。

 

番外編

ダイヤトレンド:

ありがたい会社。