たらい回しの定義

お役所的ヒューマンインターフェースとして,たらい回しがあります。

gooの国語辞典にはこうあります。

(1)足で盥を回す曲芸。
(2)ある一つの物事をなれ合いで他の者に送りまわすこと。
「政権の―」

う〜ん。「なれ合いで」というところがひっかかりますねぇ。

どちらかというと「内輪でまわす」だけの意味なんでしょうかね。もしそうなら,お役所的たらい回しというのは誤用ぽい気がしてきます。
yahooの辞書では,

1 あおむけに寝て、足でたらいを回す曲芸。

2 人や物、また権利・地位などを、ある限られた範囲内で、順送りにすること。「病院を転々と―にされる」「権力の座を―する」

これなら,腑に落ちます。

お役所の窓口におけるたらい回しは,通常の市民生活ではほとんど発生しないと言えるでしょう。いまではしつこいくらいの案内板が並び,どの窓口を自分が必要としているかをかろうじて案内できています。また,総合案内窓口を設けている所も多いです。まぁ,この総合窓口に座っているのが,どう見ても使えないおっさんで,無愛想で,態度が横柄な点はこの際目をつむるとしましょうか。

では,たらい回しはどういう時に生じるのでしょうか。

身近な例のひとつは,救急車による搬送です。病院の前に着いてから次の病院へ向かうという事態があるようです。

もうひとつは,クレームや問い合わせの電話ですね。大企業ほど深刻です。まず,自動応答音声でたらいが一回りします。オペレータにつながったあとに,「担当の部署に変わります」。そして,その部署の電話番が「担当のものに変わります」。自動応答音声を除くと,企業対企業の日常業務の中ではこの因習はごく普通のものです。例えばあなたが取引先の担当者に電話をかける際,直通内線電話番号を知らない,またはそんなたいそうな仕組みがない相手であれば・・・受付嬢「担当の部署へまわします」担当部署の下っ端が「担当の者はいま外出中です」『じゃぁ伝言お願いします』となりますね。ここでイライラするような偉い人は,

相手が電話口に出る所までをアシスタント/秘書の姉ちゃんにやらせる

という場合があります。実際,そんなことで毎日時間をつぶしているという事実をホワイトカラーの人はもう少し真剣に考えた方が良いのかもしれません。この偉いおっさんはひとつのソリューションを手にしていると言えるでしょう。

何が言いたいかというと,取引先とのごく普通の仕組みを一般顧客まで拡大適用してはいけないのではないか,ということです。おそらく,「家庭」対企業においては,企業対企業の常識が通用しないというところではないかと。

いやいや事情はわかるんですよ。担当者と直通ばかりとは限らないです。営業マン辺りなら携帯の番号を交換しているでしょうが,オフィスワークの度合いが高い職種ほど,ムダが多そうです。

席に着いて仕事しているのに,携帯電話なんか使うな

と怒鳴られそうですしね。

いやいや脱線しました。たらい回しの定義を考えているのでした。このまま投稿してしまう所でしたよ。

おそらくたらい回しの純粋な定義はこうです。

たらい回し指数>我慢できる限界値

この不等式が成り立ったときに「たらい回しにされた!」ウガーッとなるのでしょう。ここで,たらい回し指数とは,

たらい回し指数=(たらい回し階層数,階層ごとの遅延時間)の関数

こんな感じで,どうでしょうか。ここで,たらい回し階層数とは文字通りですが,例えば電話を取り次ぐ回数です。遅延時間は,総合計だけではだめで,1回当たりの待ち時間の絶対値も影響しそうです。従って,階層ごとの遅延時間を変数とします。

官能試験的には,
・取り次ぐ人の応対の良さ
・電話の保留音のデキの良さ
あたりも加えないとだめそうですな。これらは緩和指数として加味しましょうか。

我慢できる限界値は,主体によってコロコロ変わるでしょう。ここは主体をプロファイリングしなければなりません。ある人は,気が長く,ある人は短い。用件の緊急性によって,普段は気が長い人も,そのときだけ超短気になっているかもしれません。

自分たちが提供するサービスという視点で考えれば,
 ・サービスの緊急度(平均値)
 ・想定顧客の気の長さ
をさじ加減できなければならないでしょう。なぜならば,たらい回しを回避するためにも銭がかかります。つまりそこにはトレードオフがあるわけです。

たらい回しの効果は顧客満足につながりますから,たとえ粗くても,そこを定量化しなければなりません。もしそれができないならば,たらい回しについて考える必要は無いでしょう^^

つまり,
 ・顧客満足たらい回しの低減
です。あとは,需要供給曲線みたいなトレードオフのグラフを描いて,
 ・目標値としてのたらい回し回避の効果とコスト
を決定し,計測すればよいわけです。

これはサポート関連業務などだけでなく,たらい回し方式を利用したプログラムの実装などのオーバーヘッド事前評価などにもぜひご活用いただきたいです。

え?どうやってたらい回しを回避するのかって?

知らんがな。これは全部妄想で書いただけのこと。コンサルでもなし。