これが欲しかったんじゃない!

事例1:少年よ大志を抱け

父:「おい息子よ。誕生日のプレゼントはナニが欲しい?」
息子:ニンテンドーDSが欲しい。」
父:「よしわかったニンテンドーだな。」
・・・
父:「ほれ。買ってきてやったぞ,ゲーム。」
息子:「父ちゃん,これはエックスボックスだよ。これじゃないよ。」
父:「男が小さいことでグダグダ言うんじゃない。」
息子:「ウワ〜ン」

この手の話は途方も無いくらい繰り返されています。コロコロが読みたかったのに,ボンボンを買ってきてしまう祖母。極めつけは,ファミコンが欲しかったのにMSX。など。

この事例に類するものは塞翁失馬で,後でどう転ぶかは分かりません。

職場の装備も似たような問題がしょっちゅう発生しているような気がします。

事例2:鞄持ち3年

課長:「今度情報システムを刷新するらしい。」
平社員:「へぇ。パソコンが新しくなるってことですかい。そりゃよかった。」
課長:「うむ。チミらの要望をしっかり上に上げておいたからな。えっへん。」
平社員:「そりゃありがたいす。今のノートPCはワードファイルが開くのに何分もかかって困ってたんですよ。」
・・・
課長:「どうかね,新しいパソコンの調子は。速いかね。」
平社員:「・・・確かにワードを開くのは速くなりましたけど,重さが3倍になっちゃいましたね。」
課長:「いい運動になって良いじゃないか。ワハハハ。私がチミらのように若かった頃は,こ〜んな大きな鞄を持たされてたもんだよ。ワハハハ。」

いまより良いものが欲しいというような場合には,現時点で満足されている事柄が見落とされやすいです。そして,より良いもののために現時点の満足が切り捨てられる可能性があります。

この事例においては,「持ち運びやすさは現状を維持して,性能を可能な限りアップして欲しい」ということなのですが,
 ・性能アップだけを要望として伝えてしまった。
のかもしれません。しかしながら細かい要望を出したとしても,
 ・要望の当事者ではない課長を通した伝言ゲームによって枝葉といっしょに幹情報が欠落した。
場合にはどうしようもないです。

で,どうしたら良いかですが,もちろん採用機種を選定し,決定決済する前に当事者に確認させるだけで良いです。しかしながらデカイ組織ほどこれが不完全というか,不全です。

まとめ買いで安く上げようというのは分かります。分かりますが,調達部門が仕入先からバックマージンや各種利益を得るために,末端組織が苦しむのであれば,そもそも本末転倒だと分かりませんかね?

パソコン入れ替える目的は,入れ替えた結果何かを改善しようという試みです。それによって逆に不便がかかるなら,失敗ですね。そんなに現金がもったいないというのなら,情報システムの刷新なんかやめときゃいいんですよ。

しかしながら,予算絶対主義の経理部あたりを敵に回しても何も良いことはありません。課長をだまくらかして,自分の課のパソコンの調達だけ,別ルートにしてもらうように小細工するのがベストです。

その程度の努力さえしないなら,グダグダ愚痴を言うのはやめた方が良いです。みっともないです。やれウチの課長には決裁権がないだとか,ホニャララシステムに対応できる機種はこれしかないから仕方がないとか,富士通グループだからNEC製は買えないとか,そんなのタダの言い訳ですがな。

ちなみに,何かモノを売る/作る商売に関わっているのでしたら,自分が売ったもの,作ったものを実際に使っている人と直接対話するべきです。しょうもない現場主義ではありませんが,それをしないなら,ここに書いていることの原因の一部を作り出しているのは自分自信だということになります。

ようするに自分が作っているものが「これが欲しかったんじゃないっ!」と捨て置かれるものである可能性が高いということです。みんな共犯です。