未払い賃金と終わりのないカイゼン

理論武装あぁ言えばこう言う対策〜の準備です。

月に300時間の仕事の内容をカイゼンすることで,月200時間に抑えこむことに成功したとします。すると,バカマネージャは,隣のチームがオーバーワークだから100時間分を肩代わりしてやってくれと言い出します。

隣のチームでもカイゼンをおこなえば良いだけのことなのですが。

帰ってくる反応は「中長期的にはカイゼンすべきだが,〜〜の納期はもうすぐソコなので,ちんたらカイゼンなんかやってられない」というものです。

あるいは,「じゃぁキミがあちらのチームのフォローに入ってカイゼンとやらを推進してくれ」というような依頼です。もちろん現在のチームの業務を抱えたまま,です。ここで待ってましたとばかりに「カイゼンの記録」や「カイゼンの提案」なる文書を提示してもほとんどのばあい無駄です。「あっちのチームにはそんなの読んでる余裕は無いよ」,「読んでみたけど実際のところが良く分からないから,チーム会議で説明してくれないか」

チーム会議で20人が雁首揃えて4時間つぶしたら,それだけで80時間が吹き飛びます。しかも半分くらいのひとは「オレには関係無いよ」というような連中で,実際関係ないのです。

洋物の本に書かれている会議についての記述は国内ではかなり事情が異なると思います。国内におけるカイギとは,「責任を共有する」という意味しかありません。報告や相談の内容を理解することは第一義的には求められないのです。ようするに「オレはそんなこと聞いて無いよ」と後で言わせないために参加させるためだけのカイギなのです。

さて,カイゼンに戻りましょう。隣のチームのカイゼンについては,親切心からサポートすることとして,全てのチームの作業実績が200時間/月になったとします。するとバカ管理者はこう言い出すのです。

100時間×頭数だけ進捗が遅くなっただけじゃないのか?

そんなことありませんよと反論しても無駄です。おそらく進捗を測る客観的な指標がないでしょうから。そうなのです,あなたもわたしもナニを根拠に,「省力化」できたかを示すことが出来ませんね。

小さな会社で経営まで声が届くのであれば,「売上と支払い賃金の比」で充分です。ところが,200時間働こうが,300時間働こうが支払う賃金に変化がなければ,あるいはほとんど差がないのであれば,バカ管理者に対しては説得力がありません。月に300万円の仕事を同じ人数で200時間で済ませられたのなら,残り100時間で100万円の仕事をするのは当然ではないのか?

最後は「不公平感」です。Aチームは月150時間で,Bチームは月300時間だとします。単価も近いものなら,目に見えない不満が鬱積してきます。

それを防ぐために,「チーム間フォロー」を強要するわけです。無茶苦茶な根拠がたくさん並びます。「チームメンバの能力にバラツキがある」「仕事の内容の難しさに偏りがある」「片方の仕事は途中で大きな仕様変更があった」などなど。

見積りの甘さだけに押し付けるわけにもいきません。なぜならバカ管理者の見積りというのは,担当者に見積もらせた結果を合算しただけのもの,だからです。あるいは先に納期が決まっていて,要求仕様の紙ぺラ1枚がある。人員は客先の予算で決まっていて,「それらしく見える日程を担当者に描かせたたもの」が見積りだからです。

そんなものを見積りだと言っている連中に筋道立てて説明したって埒があきません。おそらく自分で客先の元へ行って,納期や単価の交渉をした方が早いのです。権限がないっていうならどうしようもないですね。おれは技術者だからそんな営業マンみたいなことはできないs,やっちゃだめなんだということであれば,言われたことだけ言われたとおりにやってるしかないです。

残る問題は「300時間未満の実績なら,まだまだ作業を詰め込める」という考え方を駆逐することです。手っ取り早いのは,「200時間を越えるようなら,客先と相談して納期を変更してもらうか,2,3ヶ月先を見越して増員を提案します」とサラっと言うような会社に移ることです。

長時間労働できることを売りにしたら,単なる作業しかもらえませんよ。そんな仕事はこれから先も安売り合戦ですしね。

ごみためまんは,1週間の間に両極端の会社を両方目撃しました。しかも物理的距離はすぐ近くなのです。なので自分の希望や考え方はハッキリ言うべきなのだとやはり思いますです。