言わなきゃ分かりません

いちいちそんなこと言わなくてプロ同士なら通じる。

そんなことないです。本当のプロはくどいくらいに基本的な事柄の確認や指示の内容を細かく言い連ねます。これには2度3度言い回しを変えながら繰り返すことで言い間違いや,聞き間違いを防ぐ目的もあります。

寡黙が認められていたのは,ほんとうに昔の職人たちだけです。

部下が持ってきた図面をだまって破く。理由は自分で考えろ,というわけです。そんなのは,製品開発のスパンが5年とか10年のころの話です。新薬開発でもなければね。

徹夜して完成間近の試作機をハンマーで叩き壊す。あ~あ,たった1台しかない試作機を・・・なんて今時試作は何十台も作ります。しかも作っている間にバージョンが変わります。

振る舞いの意味や価値は時代や環境によって変化します。今現在でもここに挙げたような職人気質が通じるところもあるでしょうが,ご存知の通り,職人人口は減る一方です。

というか,職人の質自体が変化しています。あえて書けば「マニュアル的職人」あるいは「ハウツー職人」です。

しかしなが商習慣においては未だに「言わなくても分かるでしょ」がまかり通ります。典型的な後付理由です。

「あなたほどの人なら言わなくても分かると思ってましたが。」←こういうこと言う人は信用しない方がいいです。「御社ほどの技術力があれば・・・」のようにバリエーションも豊かです。

超能力者でもないかぎり,言わなくてもわかることなんてありません。

自分で判断することを避けて,結果を見てから「私の意図を汲んでくださってありがとうございます。」と言うか,「私の意図が通じていないとは思っていたのですが,こればかりは仕方が無いですね。」そして上のセリフを繰り返す。典型的な後付ですが,下請けいじめでは常套句ですよ。