野生の動物たちは、捕らえた獲物をすぐに食べます。
ハイエナや禿げタカでさえも、数日のうちに骨をのこすだけの状態にまで食べつくします。腐ったものは、昆虫や菌類が面倒を見るのが自然の摂理です。
ところが彼らは動物の死体を殺しても、すぐには口にしません。
まずほとんど生きたまま、すっかり血を抜き、そのあと皮をきれいに剥ぎます。
それから巨大な包丁でバラバラにします。種族や宗教によって好んで食べる動物や部位がことなります。
バラバラにしたあとが問題です。数日、ときには1週間も経ってから食べます。
保存食と称して、燻製にしたり、骨や脂といっしょに煮詰めたものを缶詰にしたりします。
そんなものを好んで生焼けで食べる連中もいるようです。
火を通す際には、動物の肉から搾り取った脂をまた使うのです。
彼らの食事場では、肉の腐りかけたにおいと、残った血のにおいと、におい消しの木の実や種のにおいが、鼻をつきます。
なんともおぞましい食事風景です。肉から取った脂で顔中をギラギラさせ、貪り食う様子は、筆舌に尽くしがたいものがあります。