最後のナカヌキ

[語り]:昭和の時代には、"問屋さん"という職業があったそうです。

問屋さんというのは、ものを売りたい人から商品を買い取って、買いたい人に、利ざやを取って売りつけることをなりわいとしている人々です。

かつて工業製品では、この問屋さんが一次、二次、三次くらいまであったのが普通でした。

もちろんそれぞれの階層の業者が"ピンハネ"します。

まともな問屋業者は自分で倉庫を持ち、商品生産者の在庫管理を助ける側面がありました。また、急激な需要の増大に対するバッファとしても機能しました。

ですが、物流最適化の中で、問屋の倉庫へ一時置きするのは無駄でしかないのはお分かりかと思います。

そうかといって、実際には生産者の倉庫にある在庫に、引き当て先のフダだけぶらさげて、「問屋の資産として付け替えるというのは」、脱税でしかありません。

まぁそんな瑣末はどうでも良くて、特に工業製品はいわゆる量販店によって問屋が壊滅状態になりました。酒屋もそうですよね。はじまりは食料品でした。

家電製品の安売りというのは、昔は倉庫の横流しやバッタもんくらいしか無かったです。驚くべきことですが。

問屋を通さない流通は"ヤミ"であり、"まともな人間のやることではない"ということだったのです。それはもちろん問屋業界のプロパガンダでしかなかったわけです。

問屋さんは、いろんな言い方で煙に巻きます。問屋と仲買人は違うとか、価格や供給の安定のために貢献しているとか。

店頭価格が100円で、生産者が問屋に卸す値段が10円、小売店の利益が20円だとして、問屋の取り分が70円というのがおかしいと、誰でも分かります。