新人が育たない理由

最大の原因は育てる側にあるでしょうね。

"教えてもらったことしか分からない"人が5年くらい仕事を続けて、仕事のこなし方、HOWTOだけを身に付けて、見た目はビジネスマン、エンジニアになっても、新人を育てることなんかできません。

さて。年に1冊も本を読まないような人が「そんなことは自分で本を読んで覚えて来い」と言っているのをよく目にします。

いちいち本を丸1冊読んでいては業務の遂行にタイムリーに応じることができない。

などと言い訳も手馴れたものです。これまで見てきた平均以上の技術者は、

月に1冊本を読むために、通勤カバンに本を入れています。

とか

週に1回カフェで半日読書します。

というような、できない人達の神経を逆なでするようなことを必ずおっしゃいます。

デキル人はできない人に嫌われます。デキル少数派の人とばかり群れますから、できないひとの有象無象とはあまり交わりません。いきおい、できない人達からは付き合いが悪いとか、業界人の他社の社員とばかり飲みに行って、肝心の自社社員へのフィードバックが足りないなどと陰口を言われます。

出来ない人は、どうやっても出来ないので、出来ない理由を考えることも、原因を取り除くことも出来ないのです。仕方がないのでほかの出来ない人の足を引っ張って、相対的に自分の出来なさ加減をマシな状態に留めようとします。

 

私の新人さんに対する鉄則はこうです。

自分よりも優秀な人が優秀であると認識することは困難なので、優秀ぽくなく見えても、それを優秀でないと断定してはいけない

良いところを見つけてやるとか、長所を伸ばすとかはプロパーがやればいいことで、私のような底辺の人間には関係のないことです。我々は時給で働くのですから、業務外の教育に時間を割いたら契約違反になってしまいます。

この鉄則は他人から言われたのではなく、なんとなく学んできたことを集積した結果です。

マヌケな新人さんをけなす、入社10年未満の人は必ずこんなことを言います。

あいつに、XXXをやらせたら何日経ってもぜんぜん進まない

YYYなんて、ネットでちょっと調べりゃわかることなのに、ぜんぜん知らないなんて。

彼の書いた報告書は誤字脱字ばかり。

どれも「俺ならこうやるからあいつよりはマシ」というだけのことしか言っていません。仮にそれが真だとして、新人さんが入社5年目の人より仕事が出来ないという情報には情報量が1ビットも含まれていません。

そうです。当たり前のことなのです。

それは兄弟げんかで、兄が弟に、「お前はまだ自転車に乗れない」と言っているのと同じなのです。どうでもいいことです。

反対に、そういうケチをつけることができないような相手が新人だったら、すさまじい劣等感を感じるだけではすまなくなります。すること今度はどんな批判が始まるかというと、以下のようなものです。

彼は会社の飲み会に来ないで変なビジネスセミナーにばかり行っている。

あいつは仕事は速いが、字が汚いし足も臭い

あの子の家は、築40年の公団住宅で信じられないことに自分の部屋がないらしく姉妹雑魚寝らしい。

はっきりいって、ほんとうに優秀な新人が入ってきたら困るのは、既存の社員だということに、彼らは気づいていません。

よくあるのは、中堅の中小企業が大幅な業績拡大後に、有名大卒社員を大量に雇ったりする状況です。

XX大学卒だと、クルマのオイルの交換も自分でできないらしい。

ピンサロに行ったことないってどういうこと!?

 

最後に口の悪い本音で書かせていただきますと、

バカが育てりゃ新人もバカになる

ただそれだけのことです。スポイラーですよ。