The man she trusts

昔聞いた話です。

不器用な男が、職場の女の子から無理な依頼を受けました。

ブキヨーさんって、HOGE市に住んでるんですよね?

あ~よかった♥

XX月XX日の日曜日の朝、7時までに北千住の駅前までクルマで送ってもらえませんか?

とっても大事な用事なんですけど、ワタシ免許ないので・・・

「なんか図々しいおねがいだけど、

カワイコちゃんの言うことはとりあえず聞いておけ

というのが座右の銘だから、ま、いいか。」

 

ちなみにこの女の子は北千住とHOGE市の中間辺りに住んでいました。

もちろん電車1本では行けないので不便ではありますが、乗り換えれば済むわけで、

普通に考えれば女の子は少し早起きすれば北千住に時間通りに行けますw

 

さて、女の子の要求はエスカレートします。

すみません、ブキヨーさん。ブキヨーさんって

いつも遅刻ばっかりして朝が苦手でしょう?

申し訳ないですけどワタシ、

ブキヨーさんちに泊まらせてもらっていいですか?

「え~。野郎の部屋に泊まるなんて

最近の女の子にはそういうの抵抗ないのかな。」

 

土曜日の朝のうちに近所のドン・キホーテのインテリア館で布団一式セットを買ったり、普段使わない和室の掃除をしたりしていると、昼過ぎに女の子から電話がかかってきます。

あの。今日の用事が早く済んじゃったので、

今から行ってもいいですか?

 

女の子はすでに最寄り駅まで来ていたので、不器用な男は言われるがまま迎えに行きました。

 

ちょっと早く来すぎちゃいましたね。

前から行きたかった所があるんですけど、せっかくなんで一緒に行ってもらえますか?

これからしばらくバタバタするので、当分おでかけとかできなくなるので・・・

お台場のヴィーナスフォートっていうところなんですけど、

運転大変ですか?

「女の子って、気ままだな~」

 

着いたころにはもう暗くなっていました。

女の子は、はしゃぐわけでもなく不器用な男に付いてただ黙って歩くだけ。

 

その後HOGE市に戻ってから駅前で食いきれないほど焼き肉を食いビールを飲んで、二人は不器用な男の家に帰りました。

 

不器用な男は生来酒に弱く、食い慣れない焼き肉も食い過ぎたので、女の子が風呂に入るのを覗いたり、寝込みを襲うこともなく、グーグー寝てしまいました。

 

・朝から大掃除

・昼から往復4時間くらい運転

・めったに呑まないビール

真相は二人にしかわかりませんが、普通に疲れますよね。

 

 

日曜日、早朝から下痢に悩まされつつ不器用な男は女の子を北千住まで送り届けました。

 

ブキヨーさん、

きのう、きょうと、ほんとうに助かりました。

わがまま一杯聞いてもらってすみませんでした。

でもこれで吹っ切れました。★

「今日の用事はよほど深刻な話なんだろうな。」

 

***

 

この話について、据え膳食わぬは男の恥、としか考えられないのは、私の思考の昭和的な部分です。

特に★の部分の解釈が難しい気がします。

 

ただ女の子はこの不器用な男を大変信頼していたようです。

不器用な男の行動は、その信頼に十二分に応えるものだとおもいますが、女の子が期待していたのはそれを越えるものだったような気がします。