使い捨てられるロボット労働者たち

1日8時間立ちっぱなしの仕事、大変です。

しばらくすると、ひざが痛くなります。

腰が悪くなります。

脚がむくんできます。腎臓が弱ります。

ただ、1日中立っているだけで、人間の体は相当弱ります。

立ったり座ったりがあれば、鍛えられる効果が期待できます。

1日中歩き回る営業マンの太いふくらはぎのように。

二足歩行の人型ロボットには、過大な期待が寄せられます。

24時間働きっぱなしでも疲れない。

実際はそんなことはありえません。産業革命以降、道具として使われてきた機械たちですら、油を注し、さびを落としながら、定期的にオーバーホールが必要なのです。

ただ、据え置き型の機械でなく、自分の足で歩けるロボットに期待されるのは、スムースな交代です。

人間同士の交代では引継ぎのトラブルが多発します。

ロボットは、頭の中を容易に共有できますから、交代がスムースです。

ロボット28号の調子が悪くなったら、サーバに保存された頭の中身を29号に放り込んで、28号はポイです。オーバーホール業者に渡るか、使える部品だけ抜いて、ロボットシルクロードのらくだの上です。

運用上の問題を検討する上での興味は、ロボットごとの装備にフォーカスしていきます。装備を換装するにはコストと時間がかかるからです。

早い時期からロボット用のアタッチメントのコンポーネント化は進みますが、制御インターフェースの不統一が問題になっていきます。順応型コントローラはインターフェースの問題を解決しますが、使いこなしに時間がかかります。また学習データは機体別となってしまうため、頭の中身の入れ替えに対応できません。

そのままロボット技術が進行するかと思われるのですが、実際には違います。頭の中身入れ替えに対応する労働者が登場するからです。

首から上が無い類人猿のクローンです。このHeadless-Monkeyと呼ばれる新しいタイプの労働者は、ロボットとともにやがて新世紀の奴隷となっていくのです。