自分は仕様書があっても、バグだらけのソフトウェアしか書けないのにね。
2年に1度くらい、こんな与太話を耳にします。
建設土木を引き合いに出して、
きちんと強度設計されたビルは誰が建てても同じものになる
いくらでも反論できてしまうのでひとつだけ例を挙げます。コンクリートは生ものですから、配合から打設までのプロセス次第で、その強度や寿命は数倍の差が出ます。
もちろん、設計や作業指示書には、細かい指示があるのでしょう。
ですが、同じ事を同じように繰り返しても、同じ結果が得られないのが自然界です。
なので施工次第で設計どおりの強度は出ません。さらに重要なのは、100%設計どおり、指示書どおりの作業を貫徹したからといって、設計どおりの強度が出るとは"限りません"
また、構造に関する強度計算については、まだはっきりしないことがたくさんあります。まるでエッフェルの時代にすべての強度計算が発明しつくされたというようなデマをばらまく輩のいかに多いことか。
新たな材質や工法が編み出されるたびに、強度計算についてのコンセンサスが得られ、たびたび修正されます。
数年前から大規模橋梁の寿命計算に大きな見積もりミスが数々見つかっていることはご存知かと思います。施工不良もあり、強度設計ミスでもあるのです。
人のつくったものに完全なものはありません。しかしつくりっぱなしにしないで保守・維持管理するという知恵が人間にはあります。
きちんとした設計をしてきちんとした実装をすれば保守なんかいらない、
などという妙な潔癖症に陥らないようにしたいものです。