チンパンジーの研究

思い出しました。

チンパンジーが他の類人猿と異なる点として、他の個体との意思疎通があります。

テレビで見た実験では、いつも痛い注射をする怖い怖い白衣の医者の格好をした人間が、チンパンジーAの檻へ向かうのを見たチンパンジーBが、ギャァギャァ騒いでAに知らせようとするのです。

このときBは、

  • Aは医者が近づいているのを知らない
  • 俺は知ってるから早く知らせてやらねば!

という風に考えて行動していることになります。

 

人間でこれが出来ていない人が結構たくさんいます。

上司や同僚への報告で、まだ報告していないことを前提にした報告をおこなって、とんちんかんな指摘を受けて、あいまいな言い訳をする羽目に陥っているのを良く見かけます。

 

前週の定例会議で議題1について、甲という方針を決めたのであれば今週の定例では、甲についての実施結果を報告するところから話を始めるのは当たり前のことです。

ところが、甲の方針が実は前提条件に問題があって乙で進めざるを得なかった場合。なぜかいきなり乙の結果報告からはじめるマヌケが多数います。

それでも、乙を実施したらXXXになった、と報告すれば辛うじて意味が通るのですが、いきなり

議題1について先週の会議の結果に従いまして、XXXとなってしまいました。これは期待したものと異なりますので・・・・

と言い出す人がいるのです。我々のような調停者あるいは傍観者は、すぐにまたマヌケが入り込んだことを検出して、マヌケが抜いた”間(マ)”を探し出し、適切なタイミングでツッコミを入れる準備を始めます。ですが、マヌケの上司のマヌケも、その”マ”を抜いてしまって、

議題1を実施してXXXになるわけないじゃないか

と怒り出すのです。そこで、

甲を実施してXXXになるわけないじゃないか

といえば多少は通じる可能性も出てくるわけですが。

さらに、XXXがとんでもない結果であればここでブレーキがかり時間は浪費されますが軌道修正されますが、XXXの内容が甲を実施の場合に期待されるものと近しい場合、このマヌケの行動がずっとあとまで見過ごされる可能性が高くなってしまいます。

それは状況判断の分岐であって、定例会議の意思決定機能を決定的に破壊してしまう行為でもあるのです。

組織間調整の多くの部分がこの手の問題です。マヌケでない普通の人がヒアリングして回れば30分で分かることを何週間にもわたって、「それぞれ持ち帰って検討」してハナモゲラな結論に達しているのをよく見かけます。

チンパンジーでもできることを人間に教え込むのは大変です。切り捨てたほうがコストや低く済ませられるでしょう。出来ない人に意思決定権を担わせてはいけないのです。意見を言わせるだけにとどめればいいでしょう。