カチンコが写りこまないようにね。
最近の映画制作現場では、撮影時にホログラムメモリに写り込んでしまったスタッフや、撮影機材を消しこむ作業にかかる工数が問題となっています。
旧来のカメラのようにフレームで切り取るのと違って、ホログラム撮影では、ある空間全体が記録されてしまいます。全体が記録されなければ過去に流行した擬似3D映像(視差のみ利用・頭痛発生装置)と同じですから意味がありません。
すべてを写し取ってしまうホログラム撮影では旧来のようにフレームの外に”逃げる”ことができません。撮影スタッフも機材も像に写りこんでしまいます。
この写り込み問題の対策としては、古くは職人の手によって、メモリ媒体上のホログラムを直接レーザーで焼ききる方法が採られていました。しかしこれはフィルム時代と同じく品質にばらつきが出やすいものでした。
次にホログラム転写による手法が編み出されましたが、細部の”消し忘れ”が残り勝ちで、転写による像の劣化を取り戻す工程も余分にかかってしまいました。マニアは競って消し忘れ部分を見つけてはネットに再現ホロをアップしたものです。
最新の撮影現場では、スタッフや機材に光学迷彩(可視光のみ)を使用して、ホログラムレコーダ内で”消えたことにする”合成をおこなう手法が流行しています。”そこに何もないのに向こう側が透けて見えない”という特徴から、マニアは”ダークマター”と呼んで茶化しているようです。
ホログラム映像作成現場のフルデジタル化も目前といわれていますが、光学迷彩のこのような利用は、その通過点といえる技術かもしれません。