1粒で2度おいしい

家の中を掃除してくれるサービスがあります。

料金表には,

日常のお掃除:2名にて4時間程度

と書かれているとします。

これを申し込んで,作業者が1名しか来なかったら客は心配します。場合によっては契約解除になります。ここで,

1名でも同じお掃除サービスの品質は維持できますので・・・

という説明は通りません。中には,「文句を言って部屋の中をぐちゃぐちゃにされたら怖いし・・・」と心配して許してしまう人もいるかもしれません。しかしれではゆすりたかりですよね。

引越しサービスなどでも同じですね。少ない人数でも引越しできればそれで良い,という話ではないです。見積り時よりも作業人数が少なければ値切り要求に応じるハメに陥るでしょう。

では料金表に次のように書かれていたらどうでしょうか。

日常のお掃除:1~3名にて4~6時間程度

この場合は人数について顧客は文句言えませんね。

どっちにしても,「2名派遣します」と言っておいて,実質的には1名で作業させるというのは単なる詐欺以外のなんでもありません。それを企業努力だと詭弁を吐くのであれば,「2名派遣するので単価×2」の代金を要求するのではなく,「このお仕事に見合う価値」を代金として要求すれば良いだけのことです。

わけがわからないのは,仕事には単価と人数でのみオファーがあるものとそうでないものに分かれるという説明です。

単価と人数,そして稼働時間だけで請ける仕事などというのはすぐに過当競争になるのは目に見えています。しかしこれをもって,「働いた時間分,投入した人数分は必ず支払いを受けられる」からリスク最小であるという意味不明な説明を繰り返す思考停止した人たちがおられます。

先にあげたお掃除サービスなら,顧客はどうやって業者を選ぶか分かりますよね?パンフレットを並べて,「同じ値段で人数が多い」業者,「同じ人数で長い作業時間=たくさん掃除してくれる」という風に序列をつけるでしょう。あとは作業内容です。エアコン掃除,カビ取り,ガラスの曇り止め・・・・

例えば私が作業者を人数指定して雇い,家の掃除サービスをさせようとしたら,そりゃ大変です。道具もなければノウハウもない。私の批判に対する反論はそんな筋違いの話ばかりです。

単価と稼働時間だけのリスク最小の仕事の行き着くところというのは,お掃除サービス会社へ作業者を派遣する派遣業をイメージすればすぐに分かるでしょう?サービス会社はできるだけ少ない人数でサービスを実現しようとします。その作業について詳しいのはあちらなのです。派遣業者はできるだけ単価を高くしたい。ところがどっこい,サービス会社も他社との競争があるので,人材派遣業者に対してもアイミツを取ります。

その派遣業が本当に儲かる商売だと思いますか?人間を連れて来て,サービス会社へ連れて行くだけでピンハネできる富が一体どれだけあるというんです?せいぜい労務のアウトソーシング程度でしょう?問題はそれが机と電話一本で誰でも始めることが出来ることです。しかも無法地帯。