偽装請負と偽装派遣

偽装派遣というのは誤用だそうです。

そんなに歴史のある言葉だとは思えないのですが、太いものには巻かれる精神で・・・

とにかく偽装派遣という言葉より偽装請負を使ったほうがよさそうです。

最近はコンプライアンスとかなんとかうるさいIT企業も多いですが、所詮は体裁だけです。

派遣社員にまぎれて偽装請負がうじゃうじゃいます。

ありがちなのは2枚舌で縛ることです。

日程や見積もりは、「請負業務なんだから(完成責任があるでしょ?)自己責任でお願いします」と自主性を認めたふりをし、少しでも日程に余裕が見えたら、期間の途中でも追加の作業を押し込むわけです。そうして日程にアシが出たりしたら、今度は「こちらの指示通りやっていただかないと困ります」とこう来るわけです。

結局、プロパーの管理下で動く以上、どう言い繕っても偽装請負なんですな。

で、問題はそういう風にあいまいに外注社員をコキ遣っている連中自体が、偽装請負について無知であることなんです。自分が指示を出している相手が派遣なのか請負なのか、知らない者までいます。

仕方がないと思うのは、派遣業法が改正される前、つまり10年弱くらい前までは、派遣社員なんてなかったわけです。つまり「以前」は請負オンリーだったわけで。ベテラン程、勘違いしているということです。

私も製造業の現場でそういう協力会社の人達といっしょに仕事していたことありますが、今の偽装請負のようにプロパーの指揮下で派遣社員のようには働いていませんでした。どちらかというと下請け(協力会社)がたまたまウチの社内で仕事している、という感じです。実際彼らは事務所を持っていて、こちらで作業する必要がないときには、そちらで仕事をしていました。

この「ヤミ派遣」(あえてこう書く)問題の厄介さはそこらへんにもあるのです。今書いたような協力会社に派遣社員が加わったときに、ごちゃごちゃになったのではないでしょうか?

派遣社員は、協力会社のように責任感も持ってないでしょう。言われたことを言われたとおりに時給で働くのがあたり前です。それは無責任でもなんでもなく。

一方協力会社は、請け負った仕事をできるだけ手間をかけずに、求められたぎりぎりの品質(過剰品質で無駄なコストをかけないように)を満たすように仕事を回すことでしょう。もちろん空いた手で他の仕事を掛け持ちもするでしょう。あるいはパチンコで時間をつぶすか。

で、根本原因がどこにあるかというと、ごく一部の元請けを除いて、偽装請負の人間を遣っているのは、もともとそういう協力会社側の人間だということです。

当然のことながら、請負会社としては、
・社員は2つ以上の業務にかけもちさせる
これを当然のようにおこないます。

それは企業努力として誠に結構なことだと思います。

問題は請負会社でありながら、元請けから人員の人月単位で仕事を請けているような場合です。遣われるのには慣れていても、遣うのが下手という点はさておいて。

そこに妙な曖昧さが入り込みます。2つ以上の業務をかけもちしているプロパーと、派遣社員や請負会社は、当然のことながら負荷が倍以上違います。本来は。

ここがアホウなのだと思うのですが、12人月の仕事を6人で請けるわけです。で、社員3人、外注(派遣・請負)3人で作業を振り分けると。

で、派遣・請負は、さらに孫請けに流したりもするわけですが、ここでも掛け持ちしていますから・・・・

この不思議な仕組みは、一体何がどうなっているんでしょうか。あれですか、カゴひとつ分のパンを数百人に分け与えたという例の奇跡と同じ仕組みですか。

とにかく、常駐の外注も、倍の負荷で働くハメに陥るわけです。

ちょっと昔ならそれでもよかったのです、単価が高かったからですね。かけもちしたらした分だけ儲けになったんですから。

しかし今は単価の叩き合いのせいで、「かけもちしないと食っていけない」状況です。しょうもない仕事しか取って来れない営業が悪いんだと思うのですが、そんなところへ派遣される人間はとても不幸です。

りんくる:
偽装請負 wikipedia
「派遣」と「請負」どう違う?

偽装請負問題リンク集(2006.10.29追加)