マントリーカーム

ある朝目が覚めると、カントリーマームマントリーカームになっていた。

昨晩、夕食後に口にしたときには、確かにそれはカントリーマームだった。

けれど今くずかごから拾い上げた包装には、はっきりマントリーカァムと書かれていた。

テレビを点けたが早朝からカントリーマームのCMが都合よく流れるはずも無かった。

インターネットで検索しても、カントリーマームはヒットしなかった。キャシュにも。

通勤途中のコンビニにあるのもマントリーカームだった。

歩きながら考えた。

カントリーマァムというのは、田舎のお袋の味、という意味のはず。

マントリーカァムでは、英語として成り立たないではないか。

会社に着いてから、机の中のポケット辞書でカントリーと、マァムという単語を引いた。そこには、国という意味も、お袋という説明も記述されていなかった。

変わりに、マントリーとカァムの項があった。

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もしそんなことを体験してしまった場合、アナタならどうしますか?世にも奇妙な物語か、星新一のショートストーリーのようなことを体験してしまったら。

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自分がジジィになってみて、無数のマントリーカァムに耐える生活が始まっていることに最近気づき始めています。

みなさんはいかがでしょうか。明日から、マントリーカームになっていても、空気読めないと言われないように、適当に話をあわせ続けますか?