農業漁業家の苦悩ですな。
ノーキョーの職員が紹介してくれた農薬は、すこぶる収穫が増えてありがたい。業者は頭からつま先まで防護服を着て、一斗缶から散布機に移していた。きっと直接吸いこんだら余ほど体に悪いのだろう。
そういえば、業者の一人は二の腕が酷くただれていた。農薬のせいばかりではないかもしれないが。
メーカーのパンフレットには、適切に薄めて使えば土壌も水源も汚染しないと書いてあったが。
来月は新しい殺虫剤の講習会だ。ウチのやつのために新しいマスクも買ってやらんといかんなぁ。街からきてる手伝いの学生さんの分はかえないな。
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漁協の副会長の紹介で漁船の新しい塗料の説明会があった。
フジツボが全くつかないのは今までとおなじだが、今度のはサンゴを殺す成分を半分に減らしたらしい。
デモンストレーションでタダで漁協の船を塗ってくれたが、商社とメーカーの作業者は、えらく咳込んでいた。うちらのつかっているマスクではだめなのかもしれない。
そういえば、メーカーの人の手の爪はボロボロだったな。あんな色の爪はみたことない。
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「こんなことしていいんだろうか」
「でもこうしなきゃ収量はあがらない」
「市場価格は下がる一方、水揚げも下がる一方では経費をけずるしかない」
あんな理由こんな理由はあるでしょうが、心の底で「もうこれは胸張れる仕事じゃないな」と思った人は子供に無理に継がせようとは思わないでしょう。
儲からないから、もっと楽な仕事があるはずだ、という昔ながらの理由ではなく、人間の良心が阻んでいる場合もあるということを指摘しておきます。