いろいろありますなぁ。
京都の三条に、怪しげな店があるといいます。
看板があるわけでもなく、店先には蕎麦屋のようなショーケースがあるだけで、そこにはほこりをかぶった小間物が並んでいたんだそうです。
それを眺めていると、店主が出てきて言ったそうです。
アナタ、ちょと肩こりに困っておられるようですネ。
良いものがありますよ。
暖簾越しに店内を覗くと、いかにも安っぽい銀色の腕輪が並んでいたそうです。首輪もあったとか。
妙な健康器具を売りつけられるのではないかと心配して、
いや、そういうものは結構です。
金属アレルギーなので。(笑)
立ち去ろうとすると、
イエイエ、売るつもりはありませんよ。
ちょっとアナタの肩こりはひどいデショウ。
わたしが気功を入れてアゲますよ。
お代はイリません。
と、椅子に座らされて、腕と肩に、物足りないストレッチのようなマッサージのような施術を受けたそうです。
もちろん何十年も凝り固まっている肩こりが数分改善するはずもなく、値札のついていない一番安い腕輪を3000円で買って帰ったそうです。店主は帰りがけに妙なことを言ったとか。
アナタ、どこでもすぐに寝られるデショウ。
それで助かっていますネ。
そうでなければ、とっくにカラダ壊しています。
寝られるときにいつでも寝るのがよいですネ。
よくあるダマシのテクニック。肩こりは姿勢や所作にでる。仕事が混んで大変なのは肌に出る。ちょっとした営業マンでも見抜けること。そう思ってそのときは聞き流したそうです。
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左腕につけた腕輪は、文字通り「うそのような」効果を発揮し、今では銀色の塗装も剥げ剥げで、薄汚い木の腕輪になっているそうです。
ただ問題は腕輪をつけた方にのみ効果があることだそうで、もう1つ買いに行こうということになったそうで。
いっしょに三条へ行った友人に聞くと、駅の近くだった気がするとのことで、路地から路地を歩き回って、見つけた場所には、自動車2台分のコイン駐車場があり、精算機の裏に小さなお稲荷さんが建っていたそうです。
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ありがちすぎるオチなので、15点かな。