土木業、建設業でもないのに、みんな建設的。
「私はもっと建設的な意見が聞きたいなぁ」
というのは、議論を煙に巻く常套句だったりします。
仕事にはいろいろあって、
風呂敷(ビックピクチャ)を広げる人
風呂敷をたたむ人
こぼれた中身を拾う人
それぞれに役割が分かれています。
広げる係の人は、落穂ひろいをする係りからの指摘に対して
それは建設的ではない
などと批判するのはやや、ルール違反の感じがします。
細かいツメの部分では、建設的でない仕事が山のように発生するからです。
妥協
諦め
つじつま合わせ
***
さて本題です。暇つぶしに最近頭髪の気になる出演者ばかりが目立って内容がちっとも頭に入ってこない「ぷぃぷぃ」を眺めながら、
「建設的意見」の意味は何ですか?
という間抜けなYahoo!知恵袋を読んで思い出したことに、
建設的って、訳語だよね?
constructiveの。
というわけであやしい裏付けのない語源辞書サイトを眺めると以下のように書かれていました。
constructive (adj.) early 15c., "derived by interpretation," from Middle French constructif or from Medieval Latin constructivus, from Latin construct-, past participle stem of construere "to heap up" (see construction). Meaning "pertaining to construction" is from 1817; "having the quality of constructing" is from 1841. Related: Constructively. Constructive criticism is attested by 1841. # 思い切って全文引用。最後の二文です。
・・・”建設するがごとく品質をもって”という意味が1841年から。建設的批判は1841年の用例が存在する。
constructが、おフランス由来のようですね。
建設関係の意味で使われ始めたのは19世紀ということのようです。
つまり、
15世紀におフランスから輸入したconstructを
19世紀に“ケンセツクオリティ”を意味するconstructiveで
慣用的に使うようになったのを、
ニポーンが輸入して”建設的”として使っている
ということのようです。輸入の輸入ですな。
ちなみに漢語では、以下のように書くようです。同じ意味みたいですね。
建設性意見
「建設的意見」の用例もあるようですが、こちらは何かを建ててほしい、建てるべきみたいな意味になっちゃうんですかね。
英米→日の輸入か、いったん中を経由したのかはよくわかりませんでした。
明治大正の古い文献の虫の皆様からの情報お待ちしております。
# 情報が届いたことないけど
(ツイッキー)
Yahoo!知恵袋の何が間抜けかということを書き忘れていたので書き足します。
建設的という言い方は100年チョイの歴史しかない慣用句であり、しかも輸入品なのです。
したがって、正しい意味というのは、輸入元でのcontructiveの”使われ方”で決まるわけでして。
# もちろん”設計”/”デザイン”のように輸入してから定義が独自に進化した上で固まる例もありますが。
原典を示さないでオレオレ定義の回答がずら~りと並んでいたので、間抜けだなという感想を持った次第です。
コトバの意味は民主的に決まるので、オレオレ定義を大声で叫ぶことによって、それがいかにも正しい意味にすり替わっていくことを期待しての行動なのかもしれませんが、それもまたはたから見れば間抜けな行為ということになるわけです。
でまぁそういう重箱のスミをつつくだけで改善案を示さないのは、いかにも非建設的なエントリというわけですね。