パーツフィーダーのばあい、カゴからワークを投入する手間がかかります。
そのコストに多軸ロボットで勝つのは相当むずかしいでしょう。
何の話かというと、昨年末からしばしばメディアに出ていた稲葉ロボットのバラ積みワークのピッキングデモです。
このデモを見ても、実際の生産現場を知る人は、あまり感動しないでしょう。
なぜなら、こんな異形でもない素直なワークなら、ちょっとしたシュートにバケットやパレットから流し込めばラインに流せる姿勢に揃えられるからです。
もちろんワークの形に合わせた窪みのある”パレット”にパレタイズするのが主目的であれば、多少は感動するかもしれませんが。
パーツフィーダなら、普通に異形ワークの姿勢を揃えてシュートに流してくれます。
ワークの入ったサザエ型のボウルを振動させるだけで、ワークが昇ってくる様子は、知らない人がみれば大感動するかもしれませんね。
ロボットハンドは1個ずつに分かれてないと困る場合でも、1個送り機構で簡単に実現できます。
エアシリンダ数本で、安定性も抜群です。
パーツフィーダーはパーツの形によっていろいろ段取り替えが必要になります。
多品種や混流には弱いということですね。
ロボットがそれに対応できるなら、今すぐにでも飛びつくユーザーがたくさんいることでしょう。
パーツフィーダーのユーザが求めているブレークスルーはそこです。
しかし最初のデモは、そこにつながるようになっていないです。
AIのデモとしてはギリギリ成立していると思いますが、所詮は同じ機種の異なる機体では学習結果が役に立たないのが2016年の現状だと思いますので、イマイチ感が漂っています。
ようするにロボットのデモとして成立していないということです。
中小零細企業のシャチョさんの目線なら、
このロボット導入してもパートさんの数は減らせないねぇ・・・
ということです。
一方、モトマンのデモを見てください。
無駄に2台のロボットと無駄にキヤノンのイメージセンサと自社製センサを並べ立てて、さらに説明がたどたどしいですが、立派に誰かの作業を肩代わりできるデモになっています。
先のシャチョさんに言わせれば、
社員の仕事をこいつにやらせて
余った社員を新規開拓案件に回そう
と考えるかもしれないということですね。
泥臭い客の要望を泥臭く実現するショールームを10年くらい運用した結果、ヤスカワはニーズからシステム提案できる企業になりつつあるということかもしれません。
一方、射出成型機でカネに目がくらんだ稲葉商会は、自社のAI技術を捨てるくらいなりふり構っていられない状況に追い込まれているのかもしれません。