誤字があったら破り捨てる

実際には気のせいなのかもしれません。

100ページを越える仕様書,ソフトウェア・ハードウェアに関わらず,読み始めて数分以内に誤字脱字が出てきたら,読むに値しません。

たった数分の時間すらかけて校正されていないことが明らかだからです。

誤字脱字は誰にでもあるものでいちいち重箱の隅をつついていたら物事は前に進まない。

などと諭す方がおられますが,校正してないなら推敲もしていないことはあきらかです。つまり内容についてなんら吟味されていないからこそ誤字脱字が溢れるのです。そんなものは仕様書ではなくて単なる私的なメモ程度の意味しかないのです。

例えば第1版,第2版と2回に渡って目を通す機会が与えられたとして,1版から2版への変更箇所でのみ誤字脱字があらわれれば,「これは慌てて変更したな。」ということで多めに見ても構わないかもしれません。

しかし1版にあった誤字脱字が,3版,4版になってもなお多数残っている状態では,お手上げです。それでも発行元としては,「版改訂作業だけで大変なんです。」という主張で,困ったものです。

200ページにも膨らんだ仕様書誤字脱字を探して修正する作業は,そりゃ大変でしょう。誰にも分かることです。しかしですね,「MACHINE」を「MACIHNE」と書いてある箇所を1箇所見つけたら,ワープロの検索機能で「MACIHNE」を探せばコピペで汚染された誤字は一瞬で解消することができるのです。それすらやってないものが多すぎます。

そもそも誤字脱字,日本語のおかしい所,を直すくらいの単純作業を,仕様書を書く主任さんレベルの人がシコシコやってること自体がおかしいと言わざるを得ません。

そんなことは,ベンチテスト結果を集める作業と同じように,学生バイトにやらせればよいのです。パソコン上の作業と言うことで,単価は多少上げなければなりませんが,それでも時給1000円くらいです。

しかも軽作業ですから,体格や性別も不問でよいでしょう。

200ページの仕様書であったとしても,20ページに1時間として10時間。たった1万円で済むんです。え?10時間で終わらなかったらどうするんだって?あなたは相当な世間知らずですね。もし10時間で100ページしか進まなかったとしても,あなたの貴重な時間は得られたはずです。しかも作業期間を倍に増やしたとしても,1万円の追加出費です。

矛盾だらけの仕様書のせいで何人の技術者が無駄な作業・手戻りを強いられているか意識できないのですか?

こういうと,「誤字脱字を直したからといって仕様書の矛盾が解消されるわけないだろ?」などと強弁する人がいます。困ったものです。

つまらない誤字脱字の修正に追われて肝心な内容の精査ができないと(間接的に)主張したのはあなたですよ。

学生バイトだと,守秘義務契約が締結できないとか,そもそも未成年相手だと契約が不可能であるとかわけのわからん逃げ口上ばかり並べる連中は,いつまでも負け組みでおればよろしい。極端な話,社員の子息を雇えば何の心配も無いでしょう?

どんな研究所開発会社アルバイトパートさんをフル活用しています。カンペキな作業負荷平準化なんて不可能なのですから,短時間労働者を利用するのは,教科書通りの対応です。

作業負荷平準化を支払い賃金の平準化にすりかえて,未払い賃金サービス残業)で穴埋めすることは,犯罪だということを忘れてはなりません。

もちろん,ここに書いてあるのは,決裁権のある人に対するお話です。月にたった10万円でも動かせるなら簡単な話でしょう?それすらない,あるいは説得できないならもう何も言うことはありません。そういう環境を泥の船と呼びます。

学生バイトやパートさんを使いこなす能力さえないのに,主任ですか。プッ。

(2006.01.08追記)
「誤字があったら破り捨てる」について書くのを忘れていました。
ほんの少し昔,もしかしたら今もそんな職場があるのかもしれませんが・・・
ドラーフターで手書きの図面を書いていた頃,上司のところへノコノコと間違いだらけの図面を持っていって「検図」を依頼したりすると,上司は黙って図面を破り捨てます。

ある人は,破り捨て,別の人は,赤ペンでマチガイを正します。
CAD世代にとっては,

赤ペンでマチガイを正す

がどういう意味を持つかピンとこないかもしれません。こう書き直したらどうでしょうか。

CAD図ファイルを削除して,ゴミ箱も空にする

紙に鉛筆で書いた図面をやぶったり,赤ペンで印を付けるということは,全て手作業でやり直すことを意味するのです。

ヒドイ話ではありますが,そういうヒドイことをする人は,ちゃんと検図してくれる貴重な存在でもあるです。

検図というのは,正しいフィードバックです。もしマチガイ図面がそのまま通ってしまったら,書いた人は,それが正しいと勘違いしたままになります。単なる誤字なら良いかもしれませんが,設計上の考え方や,設計ルール上のマチガイだったら大変です。検図の時点でフィードバックがかからずに,もし製造段階まで図面が流れてしまった後に発覚したら実損が発生します。大目玉間違いなしです。そういう大目玉をくらわないと反省しないバカでない限りそんなフィードバックは無意味です。

失敗して仕事を覚えるの意味を履き違えてはいけません。

以上,ワープロ時代以降,誤字脱字などにすっかり寛容になってしまった自分を省みるごみためまんでした。