べらぼうな報酬のために月に300時間も働くなら,それも悪くないでしょう。
でもそれを10年20年続けて,一体ナニになるというのでしょうか。
しかもゲンジツには,未払い賃金なのに。
カイゼンに終わりなし,という言葉があるように,仕事のカイゼンに「もうコレでよい」はありません。競争相手が居る場合は特にそうです。海を越えた競争が当たり前の世界では,談合すらうまく機能しません。
で,この手の話を悪用して未払い賃金を強要する連中がいます。
現状:長時間残業が常態化しており,しかも手当ては短時間分しか付かない。
ここでカイゼンをおこなうと,どうなるか。例えば作業量を20%削減できたとしましょう。これは300時間の労働時間が240時間になるということです。すると,5人のパートさんを1人減らすというのです。なぜか。取引先からのコストダウンの要求もあるし,云々。
それを飲んで,またさらに20%の削減を成し遂げたら,またパートさんを減らす。社員の労働時間は相変わらず300時間です。
つまりそういう連中は,「時給でないやつはとにかく目一杯未払い賃金でコキ使う」という方針なのです。そもそも適正な労働時間や順法精神なんかありゃしません。
賃金はタダの経費の一項目であって,「少なければ少ないだけ良い」のです。
拡大路線を突き進んでいるうちは,時間外手当がちゃんと付きますから,「働けるだけ働かせる」というのは間違いではないですが,現状維持に突っ走り始めた時点からおかしくなります。
で,零細企業や中小企業は世間がどんなに景気が良くても,上記のように人間を扱ってきました。儲かると無駄に高価な機械をライバル社の真似をして,借金して買う。活かすことはない。社員の賞与はほんのわずか。そんなことを親子2代で繰り返しているようなわけですから,人が集まらないのは当然です。
中小零細では,バブル以前というか,ずっと以前から首切りはごく日常的におこなわれていたのです。そんな不安定労働市場が,好景気場面で人員を確保できないのはあたりまえじゃないかと思うわけです。
どんな企業でもそうですが,「営利目的」です。まやかしの企業理念なんかどうでもいいわけです。「社員の家族を食わせるために」?ちゃんちゃらおかしいですよ。「てめぇの一族郎党に楽をさせるために」の間違いじゃないですか。
忙しい時には,前年の設備投資でボーナスは出せないと言い,暇になったら容赦なく自宅待機か首切り。まるでパートタイマーのように機械工や職人を使い捨ててきたのが中小零細です。何をいまさら「ものつくりの街」ですか。