ヒートポンプ

80年代以降の国内のエアコンは、冷房も暖房もヒートポンプだそうです。

暖房はヒーターでも温まりますが、原理が違います。
中途半端に熱力学を理解したつもりになっている人が厄介です。
そういう人はこんなことを言います。

曰く、
エアコンの広告に出でくる暖房効率はでたらめだから無視した方が良い。エネルギー保存則によって、使った電気と同じ熱しか発生しないのだからメーカーや機種で効率が変わるわけがない。…

カルノーサイクルを知らないんでしょうね?

80年代以前ならヒーター+クーラーのエアコンもあり得たので暖房については嘘とは言い切れない面もあります。

しかし今では世迷言です。ヒートポンプで使われる電力は、熱を移動させるために使われます。熱交換器やコンプレッサーの効率によって、同じ電力で運べる熱の量は変わります。
ここで気をつけないといけないのは、水を動かすポンプとは原理が違うことです。水を低いところから高いところに汲み上げるポンプでは、エネルギー保存則により、汲み上げた水の位置エネルギーは、ポンプを動かした電力と原理的には同じになります。ただし
ポンプの効率などの影響で、実際には何割かの電力が無駄になります。

カルノーサイクルが示すのは、工夫をすればいくらでも効率を上げられるという事実です。今後コンプレッサや熱交換でなんらかのプレークスルーがあれば、エアコンの電気代を劇的に下げられる可能性すらあるのです。

ただし住居の場合は断熱性能の方が支配的な面もあるので、エアコンだけ頑張るのもおかしな話ではあります。

また、先日発表されたデムソーの車載コンプレッサーのように、電動車では重要になってくるコンポーネントだったりもします。
ゆめがありますよねー。