今さらながらある大工場の工事伝票がEDI化されるとのこと。
月の初めからの運用開始に向け,月末は準備でおおわらわ。
なるほど,運用開始準備担当を命じられた主任さんも大変ですな。
周知徹底するのがマズ大変。手順を教え込むのも大変。運用開始後はきっと混乱するに違いない。混乱すれば責任は,私に押し付けられる。
なるほど。なるほど。そりゃいままで手書き伝票だったんですから,コンピュータオンチの皆さんがおそろいでしょうからね。システムだって,いろいろ不具合が残っているかもしれません。
しかし,以下に挙げることがらについて冷静に考えてみて欲しいのです。
- 手書き伝票ってそんなにカンペキだったんですか?
書き間違いゼロですか?発行後の差し替え発生率は?複数伝票のまとめとか分割とか,予算管理上の都合なんかでごにょごにょしてませんでしたか?
発行後の修正のときのフローはどうなってます?ハンコ借りてごまかしてますか?
まさか伝票の紛失が頻発してたりするわけはないでしょうが。
何が言いたいかというと,カンペキな仕組みから不安定な仕組みに移行するわけではないということなんです。
従来の仕組みにあった問題は潜在化していて,人間様が意識・無意識にフォローしていただけなのです。そこにはムリムラムダがタンマリ潜んでいるわけです。
電子化するのか,伝票のフローを変えるだけなのか,そういう手法の違いはどうでも良いのです。本質は「変えること」なのです。変えることで潜在的な問題が一時的に表面化するに過ぎません。
手書きからEDIにしたからといって,地球の自転が遅くなるわけでも,ボーナスが増えるわけでもありません。偉い方は,もちろんコストダウン(人減らし)を期待しているわけですが。
決裁権も権限もない主任さんにできることはせいぜい以下のことだけです。
- 混乱が起きることを前もって関係者に通知しておく(うすうす感じているはず)
- 最悪の場合に備えて,従来の手書き伝票による業務遂行許可を得ておく
- 運用開始月の工事予定をカンペキに把握しておく。(先回りして赤絨毯を敷くのがあなたの仕事)
- 段階的導入の検討を上奏する(提案型社員!)
上記2については,具体的な想定例を挙げて責任者の承認を得,関係部署の諒解も取っておくべきなのは言うまでもありません。同時に,手書き伝票の完全廃止日を決めておくべきでしょう。そうしないとダラダラ手書きに頼ることになります。
上記4については例えば,特定業者相手に限って先行導入する,工事対象ラインを絞って導入する,などを上奏するのです。上記2が可能なら4も可能なはずです。
そこにはいろいろと交渉の余地があるはずです。
ま,導入説明会の準備だけでテンパってる主任さんにはどれもムリでしょうがね。
ちなみに,ここに書いたことは特にEDIに限った話でないことにはお気づきかと思います。何かを導入する受け入れ側のやるべきこととしては普遍のものだと思います。何かを導入する提供側の話はよく見かけますが,いわゆる作り手の都合の話ばかりで相当アテにならないことばかりです。