まぶたにある、涙が流れ込む排水溝のことをご存知でしょうか。
左右それぞれの下まぶたの左右の端に2個ずつあります。
鏡でよく見てみてください。針で明けた穴のような点が見えます。ただし決して指で触ったりしないでください。
この穴は鼻の奥につながっているそうで、目薬を差した数分後に目薬の味がのどの奥に広がるのは、そういうことだそうです。なお、この穴の通りが良すぎることはドライアイの原因のひとつだったりするそうです。
で、私は1年に1回くらい、ここからばい菌マンが入り込んで目が腫れます。疲れ目の時に手でこすってしまうのが原因です。
ほうって置いても2,3日腫れて、白目の一部がザラザラになって、回復に向かうわけです。
4日目の夜も腫れは引いたものの、痛みが残っていました。まるでまぶたに小さいトゲが付いていて、それがまばたきの度に目玉にささるようなそんな痛みです。まぶたは全体的に赤黒く、目の下にはクマが出来ています。
『またか』とあきらめつつ鏡を睨みつけると、いつものように排水溝にまつげが刺さっていました。2mmほどがただれたまぶたの縁に見えています。細い細いので光の影なのかほんとうにまつげなのかただの糸くずなのかどうかさえわかりません。まつげだとすれば、短いまつげだろうと思いました。しかし、そもそも鏡で見ても近すぎて焦点が合いません。
それでもなんとかまぶたを指で引き伸ばして、最初は爪楊枝でひっかきだそうとしました。5分ほど試してみましたが、まぶたがマッカッカになって腫れがひどくなっただけでした。明日仕事にいけるだろうか、そんな不安が鏡の向こうの目に映っていました。
とうとうピンセットの登場です。まぶたの粘膜をつまんでしまってさらに充血させてしまいつつも、なんとかまつげらしきものをつまむことができました。引っ張ると出てきたのは長さ1cmもある太く長いまつげでした。こんなものが排水溝に入っていたと考えると信じられませんでした。抜いた直後から目の違和感はきれいになくなりました。ひとことでいえばスッキリです。こんなところにも痛覚や触覚があるんでしょうか。それでも痛みはまだあるため、目薬を差しておきました。
フシギなのは、まつげが抜けたあと目薬をまだ差していなのに、のどの奥に目薬の味がしたことです。5分くらい続きました。まつげが排水溝に詰まって、目玉のうらに目薬が溜まっていたのかもしれません。人体の神秘です。
翌日になると、腫れも痛みもほとんどなくなりました。
先日NHKでドライアイの治療としてこの排水溝に人工的な詰め物をする様子が映っていましたが、自分はもしドライアイになっても、その治療は受けたくないな、と思いました。