技術者がユーザ化する風景

どういうことかご説明申し上げます。

与えられた環境、与えられた道具、与えられた手順でしか何もできないユーザ化技術者が散見されます。

米国大統領の定義を借りるまでもなく、

技術者というのは人間ではなく、目の前の問題を自己解決していく存在そのものである

と信じてやまない私としては、そんな連中は似非技術者だと言いたくなります。

 

先日も、いい歳したソフト屋が、

そろそろ

組み込み開発ってどんなもんかやってみたいね

どうせ世間で言うほど難しくないんでしょ

とほざいているのを目にしました。

今時なら、アルマ次郎のボードでも買ってくれば、ものの数日で組み込み開発、それもサイセンタンのARMベースシステムを試せます。

コンパイラなどのツールは、人類史上最速のペンティアムチップで動作するPC上でほとんど無料で使えます。

どんなに長いソースリストを書いても

Disk Full!!!

にならない巨大な固定ディスクも搭載です。

 

ただしそこにはすでにCランタイムライブラリがあり、ブートローダがあります。

そんな環境で"組み込み開発を体験"したって、たいした価値はありません。

ですが、それすらやってみない人は、組み込み現場に来るとあれがないこれがないと文句ばかりで、さっぱり仕事を進めることが出来ないでしょう。

 

レストランで食事をする客が、シェフの料理に文句を付けている程度の存在であると、大海原へ漁にでてから気づくことになるのです。

そこには、明日食べる食事すらありません。

釣り糸?シャツをほどけば200メートルはあるんじゃないですか?