103万円の壁とかいって騒いでいる件についてです。
パートやアルバイトの本人が所得税を払う壁とか、配偶者や親の扶養からはずれるとか、そういう問題ではないのです。
さらに言えば、配偶者や親の手取りが減る(払う税金が増える)、それも数千円とか数万円とか年収レベルでは誤差なのでほとんどどうでもよいのです。
シンの年収の壁は、この配偶者や親(扶養側)のつとめている会社の「経理の人」です。
正規雇用で働いていれば、誰でも知っている「経理の人は怖い」ということを知らずに無責任なアドバイスを垂れ流しているFPをみかけたのでここで後ろ指を指しておきます。
たとえば、あるリーマンの子供が大学生でバイトで稼ぎ過ぎたとします。
すると扶養から外れるわけですね。
本来は、扶養から外れたら年末調整でその旨「調整」すればよいだけです。
それだけです。子供は所得税の手続きとかもろもろは、バイト先でやってくれます。バイト先は働いてほしいわけですから。
ところが。年末調整まぎわにその旨を経理に「相談」すると、経理の人はグチグチ^2と「扶養からはずれるならもっと早く言ってほしい」などと愚痴を言いながら、「来年は扶養にはいるのかどうか?」をしつこく聞いてきます。
扶養から外れるかどうか、1月の時点でわかるわけがありません。「12月までいくら稼いだか」できまるわけですから。
ことほどさように、リーマンが多い会社の経理の人は「毎月同じ給与」「毎年おなじ年俸」「毎年同じ扶養」を前提とする「変化をきらう脳」に最適化しています。
実際は年内の変化を「年末」に「調整」するための「年末調整」であり、そのための「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」です。
にもかかわらず、異動内容を書いて提出すると「経理の人」はグチグチ^2、あれこれ聞いてきます。
挙句には、「まだ壁を超えると決まったわけではないですよね?」「超えないようにできませんか?」などと言い出します。
あの風景には違和感しかなかったのですが、いまは改善されているのでしょうか?
おそらくされていないでしょう。
ほんとうに人手不足を解消したければ、「全日本企業経理担当者連合」(そんな団体は存在しないのです)辺りで「年末調整がめんどうでも社員に不要外れを躊躇させるな、と内閣府からお達しがでています」と通達するだけでよいのです。
あの人たちの意識「定型業務を妨げる社員の芽を徹底的につぶす姿勢」こそが年収の壁なのです。
気が弱くなくても「経理を怒らせると旅費精算や手当で不利な扱いをうけるかもしれない」と穏当に考えるリーマンは、「経理ともめるより、嫁や娘に壁を守らせる方が楽だ」という結論に陥りがちです。
嫁や娘は「会社にめいわくをかけないようにこれ以上働けない」などという謎理論をケーキタワーを食べながらカフェで開陳するわけです。
すべて機械的に処理できるなら、担当者に給料を払うのは無駄です。例外処理、柔軟な対応のために担当者がいるのです。
源泉徴収や年末調整などという無駄な仕組みは電算化、オンライン化が進めば要らないのです。
ほんらい進めるべきは、そこのむだの解消であり、無駄のためのむだになっている壁を動かすことではありません。煙幕に目くらましされている自覚が必要でしょう。
参考:ごまめの解説
ごみための感想:ながつまっちとそうだんして「歳入庁」までふみこんでほしかった